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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(164)知ることから現場を変える 異業種から事例を吸収

2024年9月16日(月) 配信

 

 スーパーマーケットで袋詰めする“サッカー”と呼ばれる人を、最近ほとんど見かけなくなりました。以前は、レジ打ちの横に、精算した商品を丁寧に袋詰めする人がいました。近年では多くのスーパーでセルフレジが導入され、有人レジでも、買い物カゴから丁寧に商品を取り出し、レジに通して別のカゴに入れます。最後は利用者が袋詰めするスタイルが、一般的になっています。過剰サービスと言われていたレジ周りでのサッカーの姿を見かけるスーパーは、人手不足とも重なりすっかり減少してしまいました。

 先日、久しぶりに妻とスーパーに行きました。レジの順番待ちをしていると、妻がエコバッグを私に渡して列を離れました。順番が来てレジ打ちが始まると、スタッフがエコバッグに目をやり、「お預かりしてもよろしいですか」と受け取り、レジを通した商品をエコバッグに入れてくれたのです。

 しかも、カゴから取り出す商品の順番も袋詰めをイメージしながら瞬時に判断して、レジ打ちしていました。その行動に感動して、妻に話すと「いつもだよ」という答えに、さらに驚きました。

 ホテルでは、チェックインの時間帯が過ぎると、フロント周りのスタッフは減ります。そんな時間でしたが、タクシーを1時間後に迎えに来てもらうよう、客室からフロントに電話を入れました。

 1時間後にフロントに降りると「西川様、ご依頼のタクシーが来ておりますのでご案内します。どちらまでお出掛けですか」と、スタッフがタクシーまで案内しながら尋ねました。そして、「少しお待ちください」と一旦私から離れると、すぐに戻って来て「お邪魔にならなければ、お持ちください」と傘を持ってきました。

 雨のようすを気にして、傘を持って来ていない私に気付いて、ホテルの傘を用意してくれたのです。さらに、タクシーに乗車すると、スタッフが運転手に「安全運転でお願いします」と声を掛けました。その言葉には、痺れるくらい感動をしました。

 お客様を目の前にしたときに、その瞬間の仕事だけに一生懸命になるのではなく「何かお役に立てることはないだろうか」とお客様を観察することが大切です。そして、勇気を出して積極的に声を掛けて行動することこそが、最幸のサービススタッフなのです。そうしたスタッフを、如何にして育てるかが大きな課題です。

 既にやっているとか、分かっているという意識が大きな障壁となって、改善が進まない現場が数多くあります。現状に満足することなく、異業種であってもこうした現場で実行されている事例をより多く知ることから、現場は大きく変わって行くのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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