訪日客が地域に寄付する「Donate&Go」、京都市から開始 ギフティ、JALなどがコンソーシアムも発足
2024年9月12日(木) 配信
電子ギフト事業などを手掛ける、ギフティ(太田睦・鈴木達哉社長、東京都品川区)はこのほど、京都府京都市(松井孝治市長)と北海道・倶知安観光協会(二川原康平会長)とともに、訪日外国人観光客が地域に寄付を行い、お礼に体験型ギフトを受け取る仕組み「Donate&Go」(ドネイトアンドゴー)を創案した。第1弾として、9月11日(水)から、京都市で同仕組みを利用した「Preserve Kyoto Gift」を開始。同日には趣旨に賛同する地域、民間企業が連携して地域課題の解決を目指す「Donate&Goコンソーシアム」を大阪ガス(藤原正隆社長、大阪府大阪市)、日本航空(JAL、鳥取三津子社長、東京都品川区)を加えた5者で発足した。
□新たな地域財源となる「Donate&Go」
訪日客が急増するなか、地域は魅力的な観光地として文化遺産や自然環境、景観を維持しながら、地域住民の生活を保護していくために大きな財源が必要になっている。宿泊税をはじめとする新たな手法の検討がされているが、今回ギフティなどは持続可能な観光、地域づくりの課題解決につながる仕組みとして、「Donate&Go」を創案した。ギフティが自治体と展開してきた、ふるさと納税で寄付を行い、返礼品として地域の電子商品券を発行する「旅先納税®」をヒントとした。
寄付者に寄付金控除などはないが、訪日客に訪れた地域の歴史や文化、自然環境を発信し、知ってもらうことでファンになってもらい、地域の抱える課題に対して理解を求めていく。
同日に京都市役所で開いた会見で、ギフティの森悟朗常務は「まずはサービスをしっかり周知し、この寄付がどう地域に役立つのかを知ってもらう。返礼品でさらに地域を知って理解や共感を深めてもらうことで、地域のファンを増やしていく。訪日客が関係人口になる世界をつくりたい」と狙いを語った。返礼品は地域を体験してもらえるものを想定するが、まずは電子ギフト券から始める。
今までにない取り組みのため、寄付金額や人数は未知数としたが、「仲間を増やし、文化として醸成していきたい」と目標を語った。
□「Preserve Kyoto」で訪日客と新たな関係性を
京都市は海外に向けて、京都の価値や魅力を発信し、景観や文化をはじめとする京都の財産を守り受け継ぐための寄付を呼び掛けるサイトとして「Preserve Kyoto」を開設。「Donate&Go」の仕組みを利用して、楽しみながら寄付を行うスキームを実現する。寄付者は「景観保全」「伝統産業支援」「文化財保護」から応援したいプロジェクトを選んで寄付ができる。返礼品は寄付額の50%を電子ギフト券「Preserve Kyoto Gift」として贈呈。伝統的建造物の飲食店や伝統産業ミュージアムなど市内約380店舗で利用できる。
京都市の松井市長は「昨年は700万人の訪日客にお越しいただいた。一過性、一部集中ではなく、より幅広い地域や京都人の生活文化を体験するような観光も楽しんでほしい。今回の取り組みはより地域にコミットし、行動変革を促すプロジェクトだ」とし、多くの京都ファンとの「新たな関係性づくり」に期待を寄せた。
□「Donate&Goコンソーシアム」
同日立ち上げた「Donate&Goコンソーシアム」は、「Donate&Go」の趣旨に賛同する地域や民間企業が連携していくための団体。発起人の京都市と倶知安観光協会は各地域の事業主体、大阪ガスは発行事務局として加盟店の管理・清算業務、JALはプロモーション、ギフティはシステムサービスの提供を担う。
今後、地域の拡大や地域間での電子ギフトの相互利用や共通化、連携したプロモーションを展開していく。「Donate&Go」の展開を予定する地域や民間企業など、メンバーも幅広く募集する。
「Donate&Go」の第2弾として倶知安観光協会が12月下旬から、ニセコエリアで取り組みを開始する見込み。スキーシーズンに合わせて展開する。京都市と電子ギフトの相互利用も行い、「Preserve Kyoto Gift」がニセコエリアでも使えるようになる。今後、他の地域が参画した際もすべてのギフト券が共通利用できる想定だ。ギフティの森常務は「相互利用で訪日客の国内周遊を促したい」と意気込んだ。なお、ギフト券の名称については共通化に伴い検討を行うという。