箱根・岡田美術館 特別展「御舟と一村、珠玉の日本画」を12月15日から開催 代表作の競演を心ゆくまで
2024年9月17日(火) 配信
箱根・小涌谷の岡田美術館(神奈川県・箱根町)は、2024年12月15日(日)~2025年6月1日(日)まで、特別展「御舟と一村、珠玉の日本画-明治から現代までの巨匠とその名作-」を開催する。
日本画家・速水御舟(はやみ・ぎょしゅう)は、明治末期から昭和初期まで東京で活躍し、近代日本画に大きな足跡を残した。その優れた作品と清廉で求道的な制作態度に、当時の画家たちが尊敬の念を寄せたが、14歳年下の田中一村(たなか・いっそん)もまた、その1人だった。2025年は御舟没後90年の節目にあたることから、同館が収蔵するそれぞれの代表作、御舟「木蓮(春園麗華)(もくれん(しゅんえんれいか))」と一村「白花と赤翡翠(しろばなとあかしょうびん)」を中心に、御舟の作品4件と一村の作品7件を一堂に展示する。
今回の目玉は名画の競演。御舟の「木蓮(春園麗華)」と一村の「白花と赤翡翠」は、自然の姿が格調高く描き表され、それぞれの代表作品に位置付けられている。制作の時代や環境、画壇の評価の有無、紙に水墨・絹に着色という素材や技法など、さまざまな違いを超えて、ともに高い絵の境地を目指していたことを伝えている。特別展ではこの2点を向かい合うカタチで展示し、名画のすばらしさを心ゆくまで堪能できる空間にする。
併せて注目したいのが「素材」。御舟は、日本画家の中でもとりわけ絵具とその使用法に独自の研究を重ねたことが知られている。一方、一村は奄美大島での極めて質素な生活の中で、上質な絵具を東京から取り寄せていた。千葉に住んだころの作品にも、絵具や素地を工夫して表現したようすがうかがえる。2人の作品の素材に注目しながら、それぞれの「こだわり」の表現も楽しみたい。
加えて副題にもあるように、大橋翠石(おおはし・すいせき)の「虎図屏風」(明治時代)など、明治から昭和にかけて100年余りの時代を追いながら、同館が収蔵する約30人の画家による計50件の珠玉の日本画を展示する。