【福島県・南会津町】田島祇園祭を支えた藍染 体験通じて地域の歴史や文化を学ぶ
2024年9月24日(火)配信
福島県・南会津町では、地域の祭を支える産業として、かつては「藍染」が盛んに行われていた。ライフスタイルの変化や染料の発達で、商業ベースの生産は途絶えたが、体験や見学を通じて、今もその歴史や文化に触れることができる。
日本3大祇園祭に数えられる「会津田島祇園祭(あいづたじまぎおんさい)」は、毎年7月22~24日に行われる。大屋台で上演される子供歌舞伎や、町中をまわる神輿渡御(みこしとぎょ)、神社の神楽殿で奉納される太々御神楽(だいだいおかぐら)など、見どころは多彩だ。裃(かみしも)姿の男性と30人ほどの花嫁姿の女性が列をなし、神への供え物を運ぶ七行器(ななほかい)行列(23日)は、そのようすを一目見ようと全国から多くの人が訪れる。町の玄関口、会津田島駅から徒歩8分の「会津田島祇園会館」では、祭りの見どころや「お党屋(とうや)制度」と言われる運営方法など、祭り概要を常設で紹介している。
南会津町の藍染は、会津田島祇園祭や同町伊南(いな)地区の「古町のまつり」などにおける裃や幡(はた)、作業着の麻などを染める需要が多かったことから、伝統産業として根付いた。町内には過去16軒程度の染屋があったと記録されている。「奥会津博物館」(会津山村道場駅から徒歩10分)では、移築・復元された茅葺屋根の染屋で藍染を楽しめる。染屋の土間には藍を醗酵させる大きな甕(かめ)があり、かつての藍染を垣間見ることができる。気軽に体験できるのはハンカチなどの「絞染め」。出来上がる模様を想像しながら生地の数カ所を輪ゴムで縛り、藍甕に浸して染めていく。作業時間は1時間程度だ。民具を収蔵する展示館では、藍染の工程や染色技法も紹介している。