【特集 No.661】由布市で「観光」と「金融」全国懇談会 官民一体で金融課題の解決へ
2024年10月1日(火) 配信
日本旅館協会(桑野和泉会長、2174会員)は9月5日(木)、大分県由布市の湯布院公民館(ゆふいんラックホール)で、宿泊業界における観光と金融に関する全国懇談会を開いた。同協会の会員や金融機関、行政の関係者など、約300人が参加し意見を交わした。基調講演には、菅義偉前首相がビデオメッセージを寄せた。元日に発生した能登半島地震や、懇談会の前週に発生した台風10号などによる災害被害への支援・要望の具体化に努める旨や、官民一体となった金融課題への解決など、4項目の行動宣言を採択した。
【馬場 遥】
□日本旅館協会 桑野和泉会長「観光は大きな転換期」
桑野会長は、「元日には能登半島地震が発生した。前週には台風10号があり、由布市も復興と復旧に取り組んでいる。全国の皆様にお集まりいただき、本当に心強く思っている」と述べた。
「今の観光は大きな転換期を迎えている。観光に携わっている事業者は、持続可能な観光・消費額拡大・地方誘客促進にずっと取り組んできた」とし、「懇談会において、金融関係者や各省庁としっかり意見を交わすことで、地方創生を実現していける」と力を込めた。
地元からは佐藤樹一郎大分県知事と、相馬尊重由布市長が出席し、祝辞を述べた。
基調講演には、菅義偉氏、秡川直也観光庁長官、山下隆一中小企業庁長官、伊藤豊金融庁監督局長が講演した。
基調講演としてビデオメッセージを寄せた菅氏は、「地方誘客・周遊のため、再び訪れたくなるような魅力づくりが大切だ。政府の金融支援に加え、経営力の向上も必要」と話した。観光資源の磨き上げが重要であることに触れ、「温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組みを心から応援している。温泉は我が国の重要な文化。政府として全力で取り組む」と力を込めた。
観光庁の秡川長官は、2003年に開始したビジット・ジャパン・キャンペーンから現在に至るまでの観光施策を振り返ったのち、「30年には観光立国推進基本計画で示した訪日外国人旅行者数が6000万人に到達する見込み。しかし、オーバーツーリズムに続く新たな課題も出てくる可能性があるため、皆様と知恵を出してうまく対処し、次の世界に向かっていきたい」と話した。
中小企業庁の山下長官は「地域再生と中小企業政策」について語った。
「国内投資が収益へ、……