「16年は海旅復活の年」、髙橋社長、新春経営講演で(JTB)
JTB(髙橋広行社長)は1月21日、東京都内で2016年新春経営講演会を開いた。冒頭、2015年の観光情勢を振り返り、15年は大阪万博開催の1970年以来45年ぶりにインバウンドとアウトバウンドの数値が逆転したことなどを受け、髙橋社長は「斑模様の1年だった」と表現した。今年度の国内旅行は、3月の北海道新幹線の開通や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと東京ディズニーシーがともに開園15周年を迎えるなど、観光素材が多く堅調に推移する見込み。海外旅行については、今年度を“復活の年”とし、マイナスの流れに歯止めをかけるべく尽力していくことを伝えた。
髙橋社長は、日本の観光立国実現に向け、同社グループでも、国内・海外・訪日による「三位一体」の取り組みを強化していくと報告。国内旅行については、14年に設立したJTB国内旅行企画を中心に、国内旅行の価値を高め、地域の魅力あるコンテンツを組み込んだ商品を展開していく。
海外旅行は、ツーリズムEXPOなどにおいて、安心・安全な海外旅行についての情報を積極的に発信し、航空座席や客室の確保、チャーター便の確保などを行っていく。
訪日旅行は、今夏のリオデジャネイロオリンピックの閉会式において、五輪旗が日本に手渡された瞬間から、日本への注目が一気に高まることを踏まえ、グループ本社に訪日専門の部署を設置し、訪日需要拡大に向け取り組んでいく。
また、髙橋社長は市場別での三位一体の取り組み以外に、「MICE」「地方創生」「スポーツビジネス」に力を入れていくことを発表。4月に従業員数1千人規模の新会社「JTBコミュニケーションデザイン」を設立し、MICE誘致や、プロモーションなどにおける、トータルソリューションの提供を行っていくと述べた。
経営戦略として、同社グループでは現在20年に向けた長期経営計画として、アジア市場における圧倒的な地位を確立し、取扱額2兆円、営業利益400億円を目指す、「2020年ビジョン」を掲げている。その実現に向け、今年4月から新たな中期経営計画「躍進2018計画」を開始する。髙橋社長は、同経営計画における同社グループの〝3本の矢〟として(1)仕入(2)訪日インバウンド(3)事業開発――の3つを挙げ、とくに仕入に関しては、「仕入を制する者が営業成績を制する」とし、提携企業との連携を大前提としたうえで、買取やチャーター便の確保などのリスクテイク型の仕入れの強化に努めると決意を述べた。
講演には元総務大臣で慶應義塾大学法学部教授の片山善博氏を迎え、「真の『地方再生』と日本の将来」をテーマに、地域再生における観光振興の役割などについて解説した。