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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(165)リピーターもはじめは初回客 出逢いの瞬間に感動を創造

2024年10月14日(月) 配信

 

 初めて泊まるホテルで、エレベーターを降りてチェックインするためフロントに向かうと、数人のスタッフが立つフロントデスク前に、3台の自動チェックイン機が見えました。人手不足の現状では仕方ないので、そのシステムに慣らされてもきました。

 スタッフに声を掛けても、やはり「こちらの機械でお願いします」と自動チェックイン機を案内されました。操作はほかのホテルでも使用して慣れていましたが、この日は上手くいきません。何度か操作しても、チェックインに進めません。

 スタッフに伝えると、直ぐにフロントから出てきて操作してくれました。どうやらその機械は、姓と名の間にスペースを空けなければいけなかったようです。その後、「宿泊税は現金で良いか」と聞かれたので、クレジットカードでの支払いをお願いしました。すると、フロントデスクに戻り、機械を操作して「ポイントでもお支払いいただけますよ」と、ほかのグループホテルを利用したときのポイントで処理してくれました。

 支払い後に、喫煙コーナーの場所を聞くと、フロントから再度出てきて「いつもグループホテルをご利用いただきありがとうございます」と丁寧にお辞儀をして、その場所までわざわざ案内してくれたのです。

 喫煙コーナーから出ると、別のスタッフが待っていて、「グループホテルをいつもご利用いただきありがとうございます。客室へのエレベーターまでご案内いたします」と、まるでVIP客のような対応に驚いてしまいました。

 グループの別のホテルでは、初回の宿泊時からいつも低反発枕が用意されていました。ほかのホテルで依頼したことが、グループ内で共有されて準備されていたのです。リピーターにとっては非常にうれしい対応で、こうした対応を受けると「次もまたお願いしたい」と思うのは、私だけではないでしょう。

 リピーターを大切にすることは重要なことですが、リピーターにも「はじめ」があります。はじめての機会に「次も」と思ってもらうことこそが「創客ビジネス」です。はじめの機会に感動を創造できなければ、いつまでも椅子取りゲームを莫大なコストを掛けて集客し続けなければならないのです。

 今回宿泊したホテルの後半部分では、私にとっては心地よい対応でしたが、リピーターと確認されていなければ、自動チェックイン・アウト機を利用するだけでは、おそらくこの接客を受ける機会はなかったと思います。

 機械に任せるだけでなく、人手不足に悩む企業においても、人による接客の重要性を見つめ直し、はじめの出逢いの瞬間にこそ力を注ぐべきなのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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