「GI南会津」誕生でイベント開催 福島・南会津の酒の魅力を発信
2024年10月25日(金) 配信
福島県・南会津町の地酒が今年8月、国税庁の酒類の地理的表示「GI」指定を受けた。仙台国税局は10月21日(月)、東京都港区の八芳園で「GI南会津」誕生を記念したスタートアップイベントを開き、南会津の清酒の魅力を発信した。南会津の清酒は総じて口当たりが柔らかく、米本来の甘みと酵母のフルーティーさが引き立てられ、後味がすっきりしているのが特徴という。
「地理的表示(GI)」は地域の共有財産である「産地名」を守るためのもので、地域ブランド保護の枠組みとして国際的にも広く認知されている。今回は開当男山酒造と国権酒造、会津酒造、花泉酒造の4酒蔵・7銘柄が「GI南会津」の認定を受けた。福島県内での酒類のGI指定は初めて。また、原料米や製造場が単独の町内での指定は全国初。
仙台国税局の中村広樹局長は、世界でも産地を保全する取り組みとして知られる「GI」の認定により、「南会津の酒が世界に羽ばたくきっかけになる。今年は日本の『伝統的酒造り』がユネスコ無形文化遺産に登録される見込みだ。ますます清酒への興味が集まるのではないか」と期待を述べた。
また、渡部正義町長は「小規模な町単独での認定は初めてとなり、これも4つの酒蔵の頑張りのおかげ。酒造りの大きな飛躍を迎えた」と喜びを語った。同町ではこれまでも地酒での乾杯を奨励する「南会津町乾杯条例」を制定するなど、清酒の普及に努めてきたという。渡部町長は「今後もイベントの開催などで魅力発信を支援していきたい」と意気込んだ。
イベントでは、福島県酒造組合特別顧問で福島県日本酒アドバイザーの鈴木賢二氏が「GI南会津の日本酒について」と題し、基調講演を行った。鈴木氏は南会津の清酒が美味しい理由について、福島市などと比べると冬場が特に低温なことや豪雪地帯により超軟水に恵まれていることなど自然的要因に加え、優れた技術の共有化がはかられていることなどを紹介した。
鏡開き後には、参加者にGI南会津の酒が振舞われ、参加者は蔵元らのトークを聞きながら、八芳園の料理長が4つの酒蔵の酒に合うように考案した料理とのペアリングを楽しんだ。