ホームステイ型は“届け出”検討、議論は新たなステップへ、「民泊」中間整理
一定の要件を満たすホームステイ型の民泊などは許可制ではなく、たとえば届け出制にするのはどうか――。民泊問題への検討は新たなステップに進んでいる。厚生労働省と観光庁は3月15日に東京都内で8回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開き、これまで開催してきた検討会の中間整理と今後議論を深める課題についての検討を行った。中間整理ではこれまで議論を重ねてきた検討の方向性についての大きな変更はなかった。
【丁田 徹也】
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これまで検討会は「旅館・ホテルとの競争条件」「地域ごとの宿泊需給状況」「規制内容や方法に対応した自治体の体制」などに留意し、民泊サービスの必要性や位置付け、法令との関係、民泊仲介業者のあり方を主な論点に据えてきた。
検討を進めるなかで、現行法で対応できる事項については「早急に取り組むべき課題と対応策」に、現行法の枠組みを超えるため、検討を重ねる必要のある事項は「中期的な検討課題」に、それぞれカテゴリー分けした。
「早急に取り組むべき課題と対応策」で現在進んでいる検討内容は「簡易宿所の枠組みを活用した民泊サービスの提供」で、旅館業法の許可取得を促進すべきとしている。簡易宿所の枠組みを利用するにあたり、旅館業法の現行の客室面積基準「33平方メートル以上」では民泊規模の客室が対応できないことが想定されるため、「1人当たり面積を3・3平方メートル」と変更する方針も定めた。旅館業法の関係法令だけでなく、賃貸借契約や共同住宅の管理規約に反していないことの確認も求める必要があるとした。
「中期的検討課題」については、旅館業法上で求められてきた許可取得をはじめとする義務の内容を一律にすべきか、仲介業者や管理事業者などに義務を課すべきかなど、現行制度の枠組みでは扱えない事項について検討を進めている。
今回の検討では、家主在住で自宅の一部を貸し出すホームステイ型などの「一定の要件を満たす」民泊サービスにおいて、規制を課すことを前提に現行の許可制よりも緩やかな規制に変えていく必要があるとの見解を示した。緩和例として届け出制を挙げた。「一定の要件」については検討委員の指摘や海外の民泊サービス事例を参考に、今後議論を深める予定。このほか、検討委員からは「地域ごとに定めている民泊に関するさまざまな条例に今後どのように対応していくのか」「民泊には旅館やホテルなどのフルサービスの宿泊施設ではないことを明示させる必要があるのではないか」など、今後の検討課題についての意見もあった。