G7観光大臣会合を報告 持続可能・人材育成・AI活用などを議論(秡川観光庁長官)
2024年11月22日(金) 配信
観光庁の秡川直也長官は11月20日(水)に開いた会見で、11月13(水)~15日(金)にイタリア・フィレンツェで行われたG7観光大臣会合の議論内容・成果について報告した。
G7の枠組みとして観光大臣会合が行われたのは初めて。議長国はイタリアが務めたほか、フランス、米国、イギリス、ドイツ、カナダ、EU、ブラジル、エジプト、インド、サウジアラビア、OECD、UNツーリズム、WTTCなどの国・機関が参加した。
同会合では、持続可能で包摂的な観光の役割・観光産業における人材育成・観光産業におけるAI導入の可能性と課題の3点について活発な議論が交わされた。
日本からは、観光大臣会合の前週に宮城県仙台市で行われた観光レジリエンスに関する閣僚級会合について紹介。観光レジリエンス向上に向けた今後の取り組みの方向性を取りまとめたことを発信した。
さらに、秡川長官は、「日本の人口において高齢者や障害者などバリアフリーを必要とする人の割合は3割。日本の旅行者における割合は2割となっている。この人たちが旅を諦めないために、この1割の差をどのように埋めるかを、ユニバーサルツーリズムやバリアフリーの観点から考えなくてはならない」とし、各国の関心を得たと報告した。
また、各国共通の課題として観光産業における人材の不足が挙げられたほか、AIの活用によって新たな雇用機会の創出や、事業運営、業務組織の改善、ビッグデータの活用などによって観光の持続可能性に貢献することができるとした。
一方で、フェイクレビューやディープ・フェイク、消費者の行動操作などの、市場を歪め競争を不要に変化させる可能性のあるAI技術の悪用のリスクについて、観光事業者と観光地が必要な知識を得ることが重要だとした。
同会合では、これらを盛り込んだコミュニケを採択した。
観光庁によると、2024年10月の訪日外国人旅行者数は、単月として過去最高の331万2000人。1~10月の累計では、3019万2600人となり、過去最速で3000万人を達成した。
一方で、日本人の海外旅行については、10月の出国日本人数が114万8400人となり、19年同月比31・0%減と、約7割の回復。1~10月の累計では1064万人となり、5年ぶりに年間累計が1000万人を突破した。
秡川長官は、「航空ネットワークの維持や国間の相互理解などの国際関係構築のほか、日本人の国際感覚の磨き上げのために、海外旅行に出掛けることは大事」という認識を示した。「海外への修学旅行促進などで、文科省と協力できれば」と省庁を跨いだ連携も視野に入れている。