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〈旅行新聞12月1日号コラム〉――久しぶりのソウルへ ライブ感のある屋台で食を楽しむ

2024年11月30日
編集部:増田 剛

2024年11月30日(土) 配信

 久しぶりに韓国・ソウルを訪れた。仁川国際空港からA,REXで到着したソウルの街は、雨に濡れて輝いていた。ソウル駅近くのホテルで2泊分のチェックイン後、客室のベッドで疲れた身体を横たえて「さて何をしようか」と思案していると、急激に空腹を感じた。何か胃袋に入れようと表に出たが、傘が無く、ソウル駅まで続く地下道を歩いた。やっと見つけた店で熱々のビビンバを食べると、もうそれだけで満ち足りた気分になった。ホテルに戻って、雨粒が滴る大きな窓越しに異国の街並みをぼんやりと眺めていた。

 小一時間もすると、雨は上がり、濡れた道路も乾いていた。深夜近く再びホテルを出ると、先刻まであんなに激しく雨が降っていたのに空気は乾燥していた。「冬の到来を告げる風が吹き出したからだ」と一人呟いた。どこを歩いても銀杏が街中を覆い尽くし、街が一面黄色に染まっていた。ソウルという都市がこれほどまでに銀杏並木が多い街だとは、知らなかった。

 ライトアップされた南大門から明洞通りに辿り着くと、土曜の夜ということもあって、屋台の周りには若者や外国人旅行者の熱気に溢れていた。

 その中に日本人の姿も多く見られた。いや、「多く見られた」というのは正しくない。前後左右から日本語が聞こえ、ごった返していた明洞界隈の半分が日本人ではないかと思えるほどだった。近年台湾でも日本人観光客の少なさを感じる。今春訪れたマカオでは、滞在した4日間のうち日本人とすれ違ったのは、わずか1組の中年夫婦だけだった。「日本人は此処にいたのだ……」と腑に落ちた。

 2日目は朝食に明洞サヴォイホテル内のオダリチプでカンジャンケジャンを食べ、景福宮を観光した。午後は広蔵市場のメインストリート「うまいもの通り」の屋台で、タコの踊り食い(サンナッチ)や韓国餃子(マンドゥ)、韓国風海苔巻き(キンパ)、韓国名物のフライドチキンなどを存分に味わった。

 明洞もそうだったが、広蔵市場の屋台もすごい人だかりで、とりわけ外国人旅行者にとって、ライブ感のある屋台でその土地の食を楽しむことが、旅の醍醐味なのだと肌で実感した。

 夜は、焼肉店でカルビやサムギョプサル、チジミなどを味わいながら、チャミスルやマッコリで深く、心地よく酔った。マッコリはやはり、野球部が麦茶を入れるようなやかんで飲むのが旨い。モダンに、スタイリッシュに変わりつつある韓国だがマッコリをあのやかんで飲むスタイルだけは、「オシャレにしないで」と願うばかりだ。

 さて、今回ソウルを訪れた最大の目的は、韓国大統領官邸・青瓦台を観光することであった。北岳山(プガクサン)を背景に建つ青瓦台は、テレビ画面を通じて何度も見てきたが、「今は観光客に無料で全面開放されている」ことを、本紙記者から聞いて以来、無性に訪れたくなったのだ。

 最終日の早朝は、頭の芯を突き刺すほど空気は冷たかった。雲一つない空は真っ青に澄みわたり、北岳山と青瓦台が眼前に大きく現れた。歴代大統領が厳かに執務する姿を想像しながら本館の館内を見学した。「訪れて良かった」と思った。

 旅の途中、私は何度か困難な状態になったが、そのたびに通りすがりの韓国人の若い女性が優しく助けてくれた。ありがたかった。

(編集長・増田 剛)

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