トラベルライティングアワード2024 最優秀賞は瀬戸内みなみ氏の「長崎 異国菓子ものがたり」(立教大学舛谷研究室)
2024年12月18日(水) 配信
立教大学観光学部舛谷鋭研究室は12月16日(月)、新座キャンパス(埼玉県)で、機内誌または車内誌に掲載された旅の体験を文章で表現したもののなかで、優れた作品を表彰するトラベルライティングアワード2024の授賞式を開いた。最優秀賞には、東海旅客鉄道の車内誌「ひととき」3月号に掲載された瀬戸内みなみ氏の「長崎 異国菓子ものがたり」が選ばれた。
同賞は2007年に、日本での知名度が低い「トラベルライティング」の認知度向上を目的に設立。舛谷研究室の学生が昨年に掲載された作品から、テーマが魅力的か、新鮮な驚きや発見があるか、行ってみたいか、写真などのビジュアル面で惹きつけられるか――などを基準に投票し、選出している。今年の対象は10誌128作品。
瀬戸内氏は「若い学生が選んでくれたことを大変光栄に思う」と述べた。
同日には、学生奨励賞の授賞式も開催した。17年にスタートした同賞は、立教大学観光学部の講義「トラベルライティング」で提出された学生の作品を表彰している。旅の文章として優れた内容だけでなく、場所・土地の理解の容易さ、タイトルとリードが本文と内容と合致していること、筆者ならではのメッセージの強さで受賞者を決める。
今回の対象は352作品。同講義の担当講師・抜井ゆかり氏が1次審査で21篇に絞ったあと、舛谷ゼミの同賞担当学生が11篇を選出。ダイヤモンド・ビッグ社元社長の藤岡比左志氏や作家の田中真知氏らで構成する奨励賞選考委員会が、このなかから最優秀作品1篇と優秀作品2篇を選んだ。
最優秀賞は今村拓人さん(観光学部観光学科)の「忘れられない経験、アウシュビッツ」が選ばれた。ポーランド・アウシュビッツを訪れた際、教科書や映画では伝えきれない歴史の重みを体感し、深く考える機会を得たことを綴っている。
講評で藤岡氏は「毎年、作品のレベルが上がっている」と評価。2~3年生に対し「来年も挑戦し、最優秀賞の受賞を目指してほしい」と語った。
抜井氏は最優秀賞と優秀賞に選ばれた作品について、「1日や15分など短い時間の旅を記した作品でも、(作中における登場人物や場所の)長い歴史を感じさせることができた」と評した。
優勝賞は、眞壁瀬菜さん(同交流文化学科)の「玉に瑕の愛おしさ」と、中田明日菜さん(同観光学科)の「最初と最後の旅」が受賞した。
舛谷教授は「学生が毎年、若者の視点で投票し、決めている」とトラベルライティングアワードの意義を語った。学生奨励賞の受賞者には、「きちんとした賞を獲得したことを履歴書に書き、生かしてほしい」と呼び掛けた。