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〈旅行新聞1月1日号コラム〉――2025年の観光業界 「旅館の過ごし方」で新たな客層開拓を

2025年1月1日
編集部:増田 剛

2025年1月1日(水) 配信

 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、2025年の幕が開けたが、観光業界はどのように進むのか。本紙は新年号で毎年恒例の「観光業界トップの年頭所感」を掲載している。旅行業や宿泊業をはじめ、幅広い観光業界のトップが年初に当たり、抱負や目標、立ち向かわなければならない課題、業界が進むべき方向性などが示されている。

 25年は大きな天災や、国際情勢の激変などがなければ、訪日外国人旅行者数は順調に増えていくだろう。昨年12月18日、観光庁の秡川直也長官は、24年の訪日外国人旅行者数が3500万人に到達する見通しを示した。過去最高だったコロナ禍前の19年の3188万人を大幅に上回る状況で、25年は4000万人の大台が視野に入ってきた。

 一方、出国日本人数は24年1~11月の累計は1182万人と、2000万人を超えた19年比では6―7割程度の回復状況だ。今年は多くの日本人が海外旅行に出掛けられるような、明るい状況になればと願う。

 そして国内に目を向けると、国内観光の中核的存在・旅館は大変革期にある。本紙1面特集では、國學院大學観光まちづくり学部教授の井門隆夫氏に「旅館の未来を考える」をテーマに新春インタビューを行った。

 最多人口世代「団塊の世代」のためのサービスを50年間続けてきた旅館の時代が終焉しつつあり、井門氏は新たな発想による価値転換と、地域社会とのつながりの重要性を語った。「新たな発想による価値転換とはなにか」について、わかりやすく説明されているので、ぜひ熟読していただければと思う。

 最近は、旅館で「オールインクルーシブの宿」が人気を集めている。クルーズ旅行でも見られるシステムだが、滞在中の飲食やサービスなどが料金に含まれるため、その都度、支払いを気にせずにゆったりと楽しめるメリットがある。

 宿泊料金がリーズナブルな宿であっても、夕食時に注文したビールや子供たちのジュースなども高めに料金設定されていると、せっかく楽しい家族旅行も気分は醒めていきがちだ。一方、ビュッフェスタイルはソフトドリンクなども飲み放題のため、安心して飲食が楽しめるという点が人気なのだろう。

 さらに大きな傾向として、旅行者は旅館滞在中の過ごし方をとても重要視している。

 夕方バスで宿に到着すると、客室でのんびりする暇もなく浴衣に着替えて大浴場に行く。喉が渇いた状態で豪華な夕食膳をアルコールとともに宴会気分で盛り上がり客室に戻る。すると、布かれた布団の上で寝転がると眠くなり、朝早く起きて眠気眼で朝食をとり、バスに乗って出ていく――という従来型の旅行スタイルでは旅館は、流れに沿って料理を出したり、布団を敷いたりすればよかったが、それももう少数派になっている。

 今は15時にチェックインし、翌11時まで20時間滞在するため、館内でも客室以外で楽しめる空間が必要になる。予約が入る旅館の経営者は「滞在中に宿でどのように過ごしてもらうか」をしっかりと考え抜き、あらゆるメニューをそろえている。

 オールインクルーシブというサービスは、「旅館の過ごし方」を深く掘り下げていくきっかけとなり、新たな客層を開拓していく可能性があるとみている。

(編集長・増田 剛)

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