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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(168)コミュニケーション力を高めるおもてなし 質問から会話に慣れる

2025年1月5日(日) 配信 

 

 コミュニケーションが苦手な人が増えているように感じます。友人とは話せるが、仕事となると友達言葉ではいけないと言われて、ますます話すことが苦手になったという声を現場でよく聞くようになりました。

 先日、最近人気だというロードサイド店に家族で食事に行きました。入口でスタッフに声を掛けると、直ぐに席の案内がありました。ところが入口で、席札とおしぼり、そしてモバイルオーダーのQRコードが表示されたプラスチックカードが入った小さな籠を渡されました。つまり、番号の席に自分たちで行き、オーダーはスマートフォンでしてください、といった具合です。店内は各テーブル内が見えないように壁で仕切られているため見渡すことができません。迷いながらもなんとか席まで到着し、早速オーダーしようとしました。パスタ・ピザの大きさや量が分からないため、質問しようと呼び出しボタンを押しましたが、一向にスタッフが来る気配がありませんでした。家族は、不便だけど仕方ないのではないかとあきらめていました。人気の理由は、仕切りがあるプライベート空間内でのおしゃべりに適しているからだそうです。スタッフとの余計な会話もほとんどなく、煩わしくないのが良いとか……。働く方たちにとっても余計な気を使う必要もなく楽なのかもしれません。人手不足の時代ですので否定はしないものの、サービス業界の未来が心配になってしまいました。

 別のお店でのことです。同様にお店に入って席に案内されるときに、若いスタッフの接客にうれしくなりました。振り返りながら私たちの歩くスピードを気に掛けてくれていたのです。そしてそのスタッフは、私たちの歩調に合わせるため、「はじめてですか? 近くにお住まいですか? 寒い日にようこそお越しくださいました」など簡単な会話をしてくれました。私たちもその質問に気軽に応えながら席まで案内されました。クライアント企業にも話していることですが、相手の歩くスピードに最も合わせやすい方法は、会話をすることです。

 アルバイトや新社会人が仕事としてコミュニケーションを取ろうとすると構えてしまい話せなくなってしまうものです。簡単な質問をいくつか用意して、今日はこの質問をしてみようと目標を持って声を掛けるところから始めましょう。企業は失敗を指摘するのではなく、その結果を聞きさらに会話が深まるようにアドバイスしていくことが重要です。

 こうして「慣れ」を創る機会を持たせていけば、コミュニケーション力は高まっていくのです。コミュニケーションとは、難しく考えるのではなく声を掛ける勇気を持つことが最も大切なのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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