【第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井 ~北陸復興へ 地域の食と工芸品を世界に~】第6回地域連携研究所大会 地方同士の連携で地域活性へ
2024年12月25日(水) 配信
地域連携研究所(理事長=濵田健一郎・元ANA総合研究所会長)は北前船交流拡大機構の実績や信用を北前船に限定せず、広く地域の連携を果たすことを目的に設立された。〝東京に頼らない地方同士のつながり〟を築き、地域の活力を生み出すことを軸に活動を続けている。11月22日(金)の大会でジェイアール東日本企画社長で赤石良治理事長代行は「伝統的工芸品の世界への発信で、能登半島地震の被災地に対する復興に貢献する」と強調した。
同研究所は2021年1月に、北前船交流拡大機構の兄弟法人として設立され、北前船寄港地フォーラムとの併催で全国大会を実施してきた。
主催者あいさつで、衆議院議員(前秋田県大館市長)の福原淳嗣自治体会員会長は「日本各地の歴史をつなぎ合わせることで、(能登半島地震で被害を受けた地域の)未来を切り開き、活性化できる」と復興に向けて、さらなる団結を喚起した。
来賓の横山信一財務副大臣は、同機構と同研究所が地域活性化のために伝統的工芸品を世界に発信していることに対し、「政府としても支援する」と語った。
観光庁参与で地域連携研究所の田端浩特別顧問も祝辞を述べた。
第1部の「伝統的工芸品の海外展開~これまでとこれから~」では、備前市の吉村武司市長は同市の伝統的工芸品「備前焼」と大館市のまげわっぱが世界最大の家具見本市のミラノフォーリサローネで同時に展示され、「多くの観客を魅了できた」とした。
大館市の石田健祐市長は、伝統的工芸品「まげわっぱが」が同展示会に展示され、イタリア・ミラノ市内で「秋田犬セミナー」を主催したことを報告。「ブランド価値を高め誘客の流れを構築し、稼げる大館市の実現を目指す」と強調した。
同見本市への出展をコーディネートした渋谷区観光協会の小池ひろよ理事兼事務局長は「地域連携研究所が来年4月に実施されるミラノ・サローネに出展し、北陸の復興のためにご当地の伝統的工芸品をアートとして披露する。創造的復興につなげていきたい」方針を説明した。
欧州連合日本政府代表部の二宮悦郎参事官は、伝統的工芸品について「内需は減少しており、海外へ進出すべき。外国では日本文化のニーズは高い」と提案。「海外の富裕層は資産の5%をアート収集に充てており、訪日誘客も見込める」との考えを示し、認知度向上へ「各地域が一丸となって取り組んでほしい」と求めた。
観光庁の竹内大一郎観光資源課長は、さらなる訪日客の誘客のために観光庁で伝統的工芸品を活用したコンテンツの造成を支援していることを紹介。また「食文化はローカルなものに目を向けられている」として、地方の販売体制構築をサポートしていることを話した。
内閣府地域活性化伝道師で跡見学園女子大学の篠原靖准教授が「地域連携研究所が観光庁によって支援され、自治体会員が増えれば、さらなる地域の発展が期待できる」とし、「食については地域文化を括りながら、ストーリーを明確にし、成長につなげてほしい」とまとめた。
第2部における自治体の取組紹介では、新たに同研究所に加盟した長崎県長崎市を代表して長崎国際観光コンベンション協会の股張一男常務理事が「卓袱料理などの食文化をはじめとする豊富な地域性を磨き、地域の経済再生を目指す」と方針を示した。
新たに加入した自治体として、秋田県大仙市の老松博行市長と仙北市の田口知明市長も、地域活性化に向けた活動を説明した。
各種報告では、アミナコレクションの進藤さわと社長がブルガリア訪問と呼子での地域活性化の取り組みを発表した。
□馳石川県知事も出席 前夜祭で国際交流
北前船寄港地フォーラムと地域連携研究所大会に先立って、21日(木)に開かれた前夜祭には、観光関係者や国会議員、欧州各国の大使館関係者などが集まり、北前船を契機とした国際的な交流を深めた。
開会のあいさつで、ANA総合研究所副社長で北前船交流拡大機構の森健明理事長代行は「北前船の絆が時空を超えて、被災地支援のために、関係者が集まることは先人の遺産だ。新たな北陸のカタチを考える場にしたい」と想いを述べた。
歓迎のあいさつでは、石川県の馳浩知事が「北前船は訪日客にとって大変魅力的なものだ。大いに盛り上げましょう」と語った。
その後、同機構と同研究所の浅見茂専務理事が参加者を壇上で紹介した。
駐日ブルガリア共和国大使館のアラバジエヴァ・マリエタ大使は「日本とブルガリアの交流開始から24年で115年。フォーラムを通じ、交流を盛んにしたい」とした。
前駐日ハンガリー大使でTDKのパラノビチ・ノルバート広報グループゼネラルマネージャーは、石川県金沢市とハンガリーによる交流を説明。「TDKとしても日本の地域に貢献していく」と宣言した。
また浮島智子衆議院議員と観光庁の秡川長官も来賓として出席した。
ジャーナリストの井上公造氏と菅原広二市長、地域の神様である秋田県男鹿半島のなまはげと、能登地域のあまめはぎの共演によるセレモニーも開催された。
菅原市長は「男鹿と能登は北前船の寄港地で、(現在も)兄弟のように深い付き合いがある」と紹介した。
井上氏は「なまはげと、あまめはぎが厄を払い、一層の復興につながるだろう」とまとめた。
前夜祭では、日本観光振興協会の最明仁理事長やANAあきんどの原雄三社長なども登壇した。
最後に、加賀市都市交流協議会の宮本峰幸会長による閉会のあいさつで締め括った。
また、22日(金)にはレセプションが開催された。復興支援につなげようと、SGCの土屋豊会長は同社で制作した金の大会記念オブジェ「黄金の不死鳥」を坂口市長に寄贈した。
次回開催地の臥雲義尚長野県松本市長が、初めて海のない都道府県で開くことを説明。「市内における物流と人の流れが活発だった。市を再び繁栄させたい」と意気込みを述べた。