何を“一定の要件”に、民泊の制度設計案提示、民泊のあり方検討会9回目
合理性のある「一定の要件」の設定を――。厚生労働省と観光庁は4月22日に東京都内で9回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開いた。今回の検討会では、事務局側から「民泊サービスの制度設計について(案)」が提示され、既存の旅館やホテルとの線引きや、競争条件の確保のため「一定の要件」を設定すると報告した。営業日数や宿泊人数など、健全な民泊を行うために、何を〝一定の要件〟として盛り込むかが、今後の民泊を左右する。
【松本 彩】
3月15日に行われた中間整理を基に事務局が作成した「民泊サービスの制度設計について(案)」では、新たな民泊サービスを「既存の住宅を活用した宿泊サービスの提供」と位置付け、そのうえで家主居住型だけではなく、家主不在型物件も空き家の有効活用として、民泊物件の対象に組み込んではどうかという提案がなされた。
家主不在型の民泊サービスにおいては、騒音やゴミの出し方などで、近隣住民との間でトラブルに発展することが懸念されており、また家主不在のため住民からの苦情の申し入れ先が不明確といった問題点がある。
これら問題点について今回の制度設計案では、家主不在の民泊サービスについては登録を受けた管理者に〝やってもらうべき業務〟として(1)利用者名簿の作成・備付け(2)利用者に対する注意事項の説明(3)苦情の受付(4)当該住戸についての法令・契約違反の不存在の確認――などの業務を担当させることで、適正な管理や安全面・衛生面を確保するとした。一方、仲介業者に対しては「一定の要件」に違反したり、家主がいないにも関わらず、ホームステイ型と偽装するような不適切な民泊サービスについて、広告削除命令を可能とするとともに、不適切なサービスであることを知りながら広告掲載している場合、さらに業務停止命令などの処分を可能とすることを検討していくとした。
事務局からの提案に対し、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の北原茂樹会長は、民泊サービスに既存の住宅を活用することについて「既存の住宅を活用するのが大前提。民泊をやるつもりで新たにマンションを建てるということになると、まったく話が違う。あくまでも既存の住宅でなければならない」と意見した。
さらに、既存の旅館・ホテルと異なる扱いをすることに対し、「一定の要件」を設けることについて、前回までの検討会で、営業日数(年間営業日数30日以内)や、宿泊人数(1日当たりの宿泊人数4人以内)についての要求や、「複数物件を認めるべきではない」という意見が出ていることについては「複数物件についてはまだまだ検討の余地がある。複数物件を1人の人が貸し出すとなるとそれは、投資物件になるので、一定の要件の規制のなかに盛り込んでほしい」と訴えた。