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【特集 No.665】対談「関門海峡」新時代へ “世界で一番面白い海峡”へタッグ

2025年2月1日(土) 配信

 福岡県北九州市(武内和久市長)と、山口県下関市(前田晋太郎市長)は近年、観光や文化、経済、人的交流などさまざまな分野で「関門連携」を深めている。最狭部はわずか650㍍ほどの関門海峡に面する両市は、世界にも類まれな「海峡観光」を発展させる大きな可能性を秘めている。北九州市の武内市長と下関市の前田市長が対談し、それぞれの市が有する観光資源や、両市が強力なタッグを組むことで実現する、魅力的な関門エリアの将来ビジョンなど、熱く夢を語り合った。

【司会=本紙編集長・増田 剛】

 ――北九州市はどのようなまちですか。

 武内:九州の「テッペン」最北端に位置し、九州最大の面積を有する北九州市は多様性に溢れ、「歴史と未来」「都会と自然」など、すべてがそろっています。
 なかでも最大の特徴は「大都市なのに人情に厚い」ところです。人の距離が近くて熱量が高い。飲食店では大盛にしてくれたり、一つおまけをしてくれたり、人の体温や熱量を体感できる素敵なまちだと思っています。
 北九州市は角打ちやアーケード付き商店街、競輪、焼うどん、焼カレーなどさまざまな発祥の地でもあり、新しいことにチャレンジをして創り出すという懐の深さを備えています。美しい関門海峡に面する門司港レトロなど観光名所も豊富にあります。昨年1年間の人口の社会動態が60年ぶりに転入超過となり、この勢いを強く、大きくしていきたいと考えています。

 ――下関市の特徴は。

 前田:下関市は本州最西端の「海峡と歴史のまち」で、長い日本の歴史の節目に〝劇的な舞台〟として登場します。
 古くは、平安から武家社会に変わる「源平合戦」のクライマックス「壇ノ浦の戦い」で、幼い安徳天皇が関門海峡に身を投げられました。女官たちが身を潜めながら毎年供養されていた伝統が今も「先帝祭」として継承されており、歴史をとても大切にしています。
 その後も、1612(慶長17)年4月13日には宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の戦い」、江戸時代・幕末には、下関戦争、倒幕・維新へ導く功山寺挙兵、明治時代には下関条約締結などドラマチックな歴史舞台として日本史を彩っています。
 このほか、「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」3位となった角島大橋なども優れた景観を有し、海外からも数多くの観光客に訪れていただいています。
 食では、全国ブランド「フグ」の取扱量日本一、「クジラ」の陸揚げ量日本一、「アンコウ」の水揚げ量日本一など、「水産のまち」として名が知られています。かつては、2隻の船で大きな網を引いて底物の魚を獲って帰ってくる、沖合底引き網漁業・水産業で栄えた歴史があります。
 人口減少などの課題もありますが、近年は「観光を中心としたまちづくり」に大きく舵を切って、地域再生や活性化に取り組んでいます。民間企業や市民も呼応するように「自分たちができることをやっていこう」と参加していただいており、元気を取り戻していることを実感しています。
 「観光で一目置かれるまち」に育てていくことが目標です。

 ――北九州市の観光の方向性は。

 武内:磨けば輝く地域資源が点としてたくさんあるのですが、これらを戦略的につなぎ、線や面にして魅力を高めていくことが大事です。
 例えば、日本新三大夜景都市第1位・北九州市を代表する夜景スポットである皿倉山で夜景を観たあとに、北九州市の美食を楽しんでもらうなど「モデルコースづくり」にも取り組んでいます。
 また、「日本一おもしろき城」にしようと、小倉城の天守閣をユニークベニューとして活用しています。ディナーや会合などで貸し切る試みが人気で、2023年には63年ぶりに来場者25万人を突破しました。
 加えて、シニア層や海外からの旅行者を中心とする富裕層、ゆとりのある層に対するターゲッティングが重要になってきます。ユネスコ無形文化遺産・戸畑祇園大山笠など魅力ある観光コンテンツを磨き、価値に見合ったプライシングをして、富裕層の方々にも届けていくチャレンジをしています。
 観光客だけでなく、市内宿泊客の7割を占めるビジネス客にも、北九州市の多様な魅力を満喫してもらい、市内で「もう1カ所、もう1泊」を楽しんでいただける取り組みを推進しています。26年に外資系メジャーホテルチェーンとして、初めて市内2カ所にマリオットグループがリブランド開業しますが、これをきっかけに世界の方々を呼び込んでいきたいと思います。

 ――映画のロケ地としても有名ですね。……

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