着地型の“多様性”探る、実践者や有識者が議論
全国旅行業協会(ANTA)は3月17日、鹿児島アリーナ(鹿児島市)で「第11回国内観光活性化フォーラムinかごしま」、翌18日には㈱全旅による「第2回地旅博覧会inかごしま」を開催した。これらに先立って16日には「第2回着地型観光事例報告会~着地型観光の多様性~」が開かれ、現状の課題や、今後に向けた提案などが熱く議論された。
事前調査によると、現在、ANTA会員約5500社のうち、㈱全旅のホームページに企画掲載しているのは4年間で延べ約300社、このなかで継続的に着地型観光を事業化している会員は約2割のわずか60社との結果が出ている。観光庁をはじめ、ANTAも地旅を積極的に推進していく方針を掲げている一方、着地型観光は経営理論的に成り立ちにくいと考えられがちな一面もあり、まだ本格的な振興には至っていない。
同報告会には、着地型観光実践者や学術有識者、民間企業、行政など幅広い分野から参加者が集まり、事例報告や今後の課題について意見交換を行った。
主な意見としては、「着地型観光が何であるか、多くの旅行会社が未だに理解していない」や、「着地型観光は会社経営の軸というよりもサポート的な役割」などの実情を紹介する一方で、「継続して行っていると、成功事例を聞いた行政からバックアップの依頼があった」や、「地域にしかない独自性の高い“食”をテーマに小人数限定だと高価格でも引き合いが強い」といった報告、「紙媒体とウェブの両方で展開しているが、予想通りほとんどがウェブからの予約」、「目的地に到着してからの検索や予約でも対応が可能なことが大事」などの意見も出た。
さらに、「日本は欧米と比較して、旅行・ツーリズムを学問として捉えた背景がないまま成長を続けた産業なので、現状の変化に順応する難しさもある。学びも必要」、「着地型観光研究会といった組織の立ち上げが必要」といった提案もあった。
参加者からは「地域の力になれる可能性を感じた」などの意見もあり、今後も継続して意見交換を行う考えだ。