公正な競争条件の確保へ、不法民泊撲滅総決起大会開く(全旅連)
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(北原茂樹会長、1万5357会員)は6月8日、東京・新宿の京王プラザホテルで第94回全国大会を開催した。北原会長は「全旅連はこれまでも公正な競争条件の確保のために声を上げ、戦ってきた。本日開く不法民泊撲滅総決起大会は、我われ自身が全旅連の存立理由を考え、議論し合う会にしたい」と述べた。さらに「民泊の細かいルール設定はこれから。我われは組織として機関決定していかなければならない時期にある」と語った。
【増田 剛】
北原会長は全国大会の冒頭、「6月2日に閣議決定で民泊の新しい法律が作られることになった。公正な競争条件を留保しながら新しいビジネススタイルである民泊にも取り組んでいこうとする政府の動きは6月中に一つのヤマ場を迎える。今後新しい法律ができるまでの間、我われはどのような立ち位置で受け入れていくのか、各都道府県の理事長をはじめ皆さんでしっかりと議論していただきたい」と呼びかけた。
大会には自民党幹事長の谷垣禎一氏、自民党観光産業振興議員連盟会長の細田博之氏ら多数の来賓が出席した。全旅連は熊本地震で被災した九州地区を代表して井上善博九州ブロック会長に義援金を贈った。第19回人に優しい地域の宿づくり賞の表彰式も行われ、厚生労働大臣賞には、阿蘇温泉観光旅館協同組合(熊本県)の「外国人に優しい街づくりFlat内牧(うちのまき)事業」が受賞した。
来年の全国大会は6月7日に石川県立音楽堂(金沢市)で行われる。石川県での開催は40年ぶりとなる。
最後に佐藤勘三郎副会長が「各種法令を遵守し、さまざまな規制のもと、宿泊者の安心安全を願いながら真摯に営業を続けている我われ旅館ホテル事業者は、無許可営業による不法民泊施設には断固反対する。さらに旅行業法の登録もないまま、不法民泊施設をインターネットで仲介する業者に対しても厳正たる処分を求める」などとする大会宣言を読み上げた。
第2部の不法民泊撲滅総決起大会では、生活衛生議員連盟の伊吹文明会長をはじめ多数の国会議員も出席。北原会長は「民泊の戦略特区・東京大田区の実例を参考にさせていただきながら、『一定の要件』の部分で我われは意見を出していきたい」とした。さらに「空き家は現在820万戸、毎年80万戸ずつ新しい住宅が着工されている。不動産投資が活発化するなか、不動産業界は民泊を賃貸アパートの空き家対策に活用しようという動きが大きくなっている」と危機感を表し、現状の不法民泊の取り締まりについても出席した国会議員に協力を求めた。
これを受けて、伊吹氏は「民泊に関する京都市の調査では、90%以上が届け出をしていない。これを放って置いて新しく規制緩和という話は別。まず取り締まりから始めなくてはならない」と強調。さらに「各地元の議員に掛け合い、『横出しの条例』を作り、撲滅することが有効」と説明した。そのうえで、「『泊まれるだけでいい』というニーズもあるのは確か。旅館業の皆さんも将来はそのようなニーズも一つのターゲットとし、埋めていくことによって違法な民泊を締め出していく営業努力も必要ではないか」と話した。
最後に桑田雅之青年部長は以下の決議文を読み上げた。
民泊の営業日数は年間30日とすべし▽民泊営業の家主は個人事業主としての登録を義務化すべし▽無許可宿泊施設の取り締まりを強化すべし▽無許可宿泊施設には厳しい罰則を▽民泊を賃貸業にせず、旅館業法の範疇とすべし▽家主不在の民泊管理業者は許可制とすべし▽仲介事業者には、施設提供家主の情報開示義務を課すべし▽民泊も旅行業と同じ建築基準法の用途規制を遵守すべし――の8項目。