名称独占のみを存続、制度設計や課題を議論(通訳案内士)
観光庁は6月13日、東京都内で第14回「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を開いた。「通訳案内士の業務独占規制を廃止し、名称独占のみ存続する」ということが、「規制改革会議」の答申を受け、6月2日に閣議決定された。これを踏まえ、同検討会は今までの議論から大きく舵を切り、今後の制度の方向性や制度設計、懸念される課題など議論した。
観光庁は制度見直し後の論点として(1)国家資格としての品質の確保(2)有資格者と無資格者の差別化――の2つを挙げた。このなかで、現実の業務に即していない資格試験の変更や一定期間ごとの更新制と研修の導入などが、今後の検討の方向性として提示された。
一方、全国通訳案内士団体からは制度に関する要望書が提出され、同団体も品質の確保と差別化を要望し、さらに具体的に、グレード制の創設やスキルアップの支援策を講じるなどの意見があった。そのほか、悪質なガイドや業者に対する対策の強化などが要望された。今後も議論を重ね、今年度の通常国会までに法案をまとめ提出する。
通訳案内士制度は創設から60年以上が経過した。現行の案内士の4分の3は大都市部に集中し、3分の2は英語でのガイドに限られるという2つの偏在がある。また全国で1万9千人を超える登録者のうち、定期的に活動しているのは1割弱といわれる。このような状況で、訪日客の増加およびガイドニーズの多様化に対応するためにも、今後の検討会で議論される一つひとつが重要となってくる。