世界基準へ、一段と、旅行会社と関係強化・改善(OTOA)
日本海外ツアーオペレーター(OTOA、大畑貴彦会長、147会員)は6月8日、2016年度通常総会を霞が関ビルディング(東京都・千代田区)で行った。今年度は、セミナーを通じての法令順守の徹底や会員への新着情報の発信を重視。ツイッターを活用し、ツアーオペレーターの認知向上もはかる。各旅行会社との関係については、グローバルスタンダードを標語に、強化と改善に一段と力を入れる。
総会冒頭、大畑会長は近ごろの事故やインバウンド状況に触れ、「一部の悪質な業者の行為によって会員は大変迷惑している。今後、協会会員は、安全管理の徹底をはかり、質の高いサービスの提供に努める必要がある」と述べるとともに、「観光産業を支えるのは、多くの業種による協働である。そのことを、関係者すべてに訴えていく」と強調し、社会における協会会員の地位と認知のさらなる向上をはかる考え。
これを受け、来賓の西海重和観光庁観光産業課長は、「ツアーオペレーターの認定制度に関する議論もあるなか、今後、協会会員の活躍の場について、法整備を含め真剣に考えていきたい。ぜひ、皆様の強いネットワークを活かして、インバウンドなど新しい分野にも取り組んでほしい」と激励した。
総会後のプレスインタビューには、大畑会長、荒金孝光副会長、ゲライント・ホルト副会長、速水邦勝専務理事の4人と媒体各社が参加。
長年、協会会員と各旅行会社との間にある温度差を埋める努力を重ねてきたOTOA。「近年の感触など、具体的な変化はあるのか」という記者からの質問に対し、荒金副会長は、「中国人観光客が全世界に及ぶなか、旅行会社側が、ツアーオペレーターの要望に耳を傾けざるをえないことも多くなってきたことは確かだ」と述べ、世界的な旅行潮流を受け、現地オペレーターの意見が尊重されはじめたとの認識を示した。
大畑会長は、「取り引きに関して言えば、我われ自身が襟を正さなくてはならない部分もある」と述べ、問題に対して主体的に向き合うことで改善できる部分はあるとの考えを示すとともに、「小規模で運営する協会会員も多く、その場合に関しては、旅行会社の方から歩み寄るかたちで、取り引き慣習などを改善すべき」ときっぱり語った。
速水専務理事は、「大部分の旅行会社とは良好な関係を築いている。一方、そうではない会社も存在する」と述べつつ、「今年度は、協会から講師を派遣するJATAのニューデスティネーションセミナーで、海外旅行を復活させられるような新しい切り口を持った企画を、プランナーに提案していきたい」と語り、JATAや旅行会社と協力し、魅力的な商品造成に、率先して役割を果たしていく構えだ。
ホルト副会長は、「10年前と違い、今は完全に個人の力だけで旅行ができてしまう」と語り、ビジネスの大きな変化に注目。世界基準の達成には、観光業界の一致団結が不可欠という認識。