JR東とメトロが連携、東京五輪の輸送をサポート
東日本旅客鉄道と東京地下鉄はこのほど、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会オフィシャルパートナー契約を結んだ。選手から観光客まで、鉄道で移動することが多いと予想される東京大会。安全と安心に尽力してきた2社は、大会の成功を輸送面でサポートする。観光客のさらなる増加が見込まれるなか、2社は利用者に対する声かけ対応からバリアフリー対策まで、ソフトとハード両面から開催後も見据えたサービスの向上を目指す。また、五輪における1業種2社での協賛は珍しく、契約に至る経緯を、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が語った。
JR東日本の冨田哲郎社長は、「当社はバリアフリーにも配慮した鉄道インフラの整備の取り組みを着実に進めてきた。東京2020大会を控え、取り組みをさらに加速させ、ハンディキャップを持つ方から外国人観光客まで、すべてのお客様の安全と安心を向上させていきたい」とオフィシャルパートナーとしての抱負を語った。また、JR東日本が行う、声がけ運動についても、「外客をはじめ駅で困っている利用者を積極的にサポートする取り組み」と説明し、同社の観光対策への意識の高さを強調。
東京地下鉄の奥義光社長は、「スポンサーシップ契約を受け、今後は、沿線地域や関係各所と連携を深めながら、東京の案内役と東京圏の交通ネットワークのつなぎ役としての職務を果たし、国内と海外すべてのお客様に東京のさまざまな魅力を楽しんでもらえるよう努めていく」と述べるとともに、エレベーターの設置やホームの多言語案内の充実など、五輪に向けた現在の取り組みを紹介した。
これを受け、日本オリンピック委員会の青木剛副会長は、「東京2020大会では、世界から訪れる選手や観客らが安心して滞在できるよう、オフィシャルパートナーとなった2社や関係各所と一緒になって、邁進していきたい」と2社の取り組みに信頼の意を示した。日本パラリンピック委員会の鳥原光憲会長は、「パラリンピックには、共生社会への変革がうながされる、それならではの価値がある。その価値を最大限に高めるためにも、満員の観客で大会を盛り上げることが必要。運輸を担う2社が、オフィシャルパートナーとなったことは心強い」と語った。
また、1業種1社を原則としているなか、同業2社でのスポンサー契約となったことについて、森会長は、「オリンピックを成功に導くためには、輸送や地域観光など付随するさまざまな事業とも縁を深めていかなくてはならない。今回の1業種1社制を超えた契約は、そのことを考慮した結果だと考えている」と述べ、2社と一致団結することが、4年後の成功をより確かなものとする見解を表明した。