海旅機運の醸成に、「若者の国際交流を促進」(秡川観光庁長官)
2025年3月24日(月)配信

観光庁の秡川直也長官は3月19日(水)に開いた会見で、同24日(月)に外務省と日本旅行業協会(JATA)の3者で共同会見を開き、「アウトバウンド促進に関する宣言」を行うと報告した。コロナ後も低調が続くアウトバウンドの回復状況を踏まえて「官民一体で促進に向けて取り組みを進め、海外旅行の機運を醸成していきたい」と話した。
コロナ後の旅行動向について、秡川長官は「インバウンドが急激な回復ぶりの一方で、アウトバウンドはスピード感が非常にない」。ただし、2月の出国日本人数が前年同月比20.7%増の118万1100人と回復基調にある見解を示した。
アウトバウンドの促進に向けて、「若者の国際交流に資する海外教育旅行の取り組み、各国の政府観光局と連携した双方向の交流の活性化、関係省庁や学校関係などと連携しながら進めていく必要がある」と強調。コロナ禍の影響で、定期的に海外教育旅行を行っていた学校が取り止めてしまう事例が散見され、再開するにもハードルが高いとの声を受け、海外旅行の機運醸成をはかる取り組みを発出するという。
25年度が最終年度となる観光立国推進基本計画については、訪日外国人旅行者数や訪日外国人旅行消費額など過去最高を記録し、既に目標を達成。一方、訪日客1人当たりの地方部での宿泊数を2泊にするなど、未達の目標が残っている現状に触れた。
前日18日(火)に開かれた観光立国推進閣僚会議で、秡川長官は石破茂首相から①地方誘客のより一層の促進②持続可能な観光の推進③第5次観光立国推進基本計画の策定(26~30年)――について指示があったと伝えた。石破首相は目標として「30年に訪日客数6000万人と消費額15兆円の高み、さらには地方創生2.0の実現のために必要な施策を盛り込んだ新たな『観光立国推進基本計画』を、25年度末までに策定すること」も掲げた。
秡川長官は「現計画での目標の達成状況や総理からの指示も踏まえ、地方誘客や持続可能な観光に留意し検討していく」考えを示した。
□2月訪日客数が好調、初の300万人突破
25年2月の訪日外国人旅行者数では、前年同月比16.9%増の325万8100人と単月として初めて300万人を突破した。一部市場で旧正月(春節)休暇が2月初旬まで続き、旅行需要の高まりがみられたほか、豪州と米国などのスノー需要が数値を押し上げた。
受け止めを問われた秡川長官は、1月の訪日外国人旅行者数と比べて減少したものの、春節休暇だった前年同月より増加していると説明し、「引き続き好調と言って良いのでは」と述べた。
開幕まであと1カ月を切った大阪・関西万博について、秡川長官は「JNTOが中国市場の旅行会社約100社に万博関連の訪日旅行商品の造成状況を調査した。これによると、27%が既に旅行商品を造成、65%が造成を予定していると回答。ゴールデンルートや関西周遊旅行に、万博を組み込んだ旅行商品が既に販売されている。観光庁もJNTOを通じて万博の情報発信を強化し、ツアー販売もサポートしていきたい」と語った。
一方で、「国内の旅行業界からも直近で約250の万博関連の旅行商品が造成されたと聞いている。なかには、鳥取砂丘や有馬温泉など地方の観光地を組み込んだ商品も販売され、着実に予約数を伸ばしている商品もあり、万博が近づくにつれてこの流れが強まれば良い」と期待を込めた。