新法案、今年度中提出へ、民泊 最終報告書を作成
厚生労働省と観光庁は6月20日、東京都内で13回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開き、昨年11月の第1回検討会から全13回にわたる同検討会での意見を最終報告書案としてまとめた。同報告書は今年3月に行われた「中間整理」や、6月2日に政府が閣議決定した「規制改革会議実施計画」などを踏まえ、これまで同検討会で出された意見をとりまとめ作成された。
同報告書で示された「民泊の制度設計のあり方」では、制度の対象とする民泊の意義について、住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置付け、住宅を1日単位で利用者に利用させるもので、「一定の要件」の範囲内で、有償かつ反復継続するものとの定義がなされた。同検討会において、何度も議論が交わされた一定の要件については、既存の旅館・ホテルとは異なる「住宅」として扱い得るような合理性のあるものを設定することが必要であるとし、「年間提供日数上限による制限」を設けることを基本とし、〝半年未満(180日以下)〟の範囲内で適切な日数を設定することと最終報告書に記載された。
新たな制度設計では民泊を「家主居住型」と「家主不在型」の2つに分類し、ホテル・旅館を対象とした既存の旅館業法とは別の法制度として整備することが適当であるとされた。最終報告書に記載された新制度に関する項目では、住宅提供者には、利用者名簿の作成・備付け(外国人利用者の場合は、旅券の写しの保存等を含む)、最低限の衛生管理措置、簡易宿所営業並みの宿泊者一人当たりの面積基準(3・3平方メートル以上)の遵守、利用者に対する注意事項の説明、住宅の見やすい場所への標識掲示、苦情への対応などに加え、当該住宅において、管理規約違反などの不存在の確認などを求め、安全性を担保するために匿名性を排除することが重要であるとされた。
仲介事業者に対する規制では、一定の要件に違反した民泊提供者を仲介サイトから削除することなどに加え、外国法人に対する取り締まりの実効性確保のため、法令違反行為を行った人の名称や違反行為の内容などを公表できるよう今後検討していくべきであると提言されている。
民泊に関する新法案については今年度中の国会提出を目指しているが、法案が成立しても、施行までの間に時間がかかることから、構成員たちからは、「新しい制度ができるまでは簡易宿所の営業許可制度は必要」、「新しい制度ができても営業日数のことがあるので、永久的な制度として簡易宿所の営業許可制度は必要になる」などの意見がだされた。法案成立までの間どのようにして、ヤミ民泊を取り締まっていくのか、依然として民泊の課題は後を絶たない状態である。