HIS、5年ぶりに黒字化(24年度連結決算) 経常益105億円、日本発の海外旅行好調で
2025年4月2日(水) 配信
エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)が3月31日(月)に発表した2024年度(23年11月1日~24年10月31日)連結決算によると、売上高は前年同期比36・1%増の3433億3400万円、営業利益は同563・8%増の108億5400万円、経常利益は同534・7%増の104億5100万円、当期純利益は87億1700万円(前年同期は26億2800万円の損失)と、5年ぶりの黒字となった。
コロナ禍からレジャー市場が本格的に回復し、活況なビジネス環境だったことから、日本発の海外旅行が好調に推移した。
旅行事業は、売上高が同40%増の2839億7200万円、営業利益は同812%増の93億200万円。このうち、日本では収益性の高い欧州方面の添乗員付ツアーを先行的に強化し、シニア層の受客が伸長した。海外法人は、夏に日本からの受客が増えた。ハワイでは大型団体、個人旅行が回復した。
ホテル事業は訪日客を中心とした宿泊客の増加で、高稼働が継続し、客室単価も上がった。韓国の変なホテルソウル明洞では、HISからの送客が業績向上に貢献した。コロナ禍で力を入れた細かなコスト削減も続けた。この結果、売上高は同28・2%増の229億8900万円、営業利益は同527・5%増の30億4700万円となった。
25年度通期は、売上高が同13.7%増の3900億円、営業利益は同10.6%増の120億円、経常利益が5.3%増の110億円、当期純利益は同11.7%減の77億円を見込む。
このため25年度は、旅行事業において、旅券の取得を促進する新パスポートキャンペーンを展開し、送客数全体の底上げをはかる。さらに、夏先ドリキャンペーンを2週間前倒しし、受客につなげる。
ホテル事業では、コロナ禍で停止した新規ホテルの開発を再開する。未進出の政令指定都市を中心にHISの旅行部門とのシナジーも考慮しながら出店を決めていく。
矢田社長は、24年11~25年1月の出国者数が前年同期比16%増の327万4000人だったことを説明。「人数ベースで伸び代がある。海外旅行のさらなる需要獲得を目指していく」と語った。
なお同社は、子会社のナンバーワントラベル渋谷が雇用調整助成金を不正に受給したことを受けてグループ全社を調査したため、決算を延期していた。同日に発表した調査結果によると、15社が故意でないが申請に誤りがあった不適正受給、3社が虚偽の申請書で支給を受けていた。返還額は計84億2800万円を見込んでいる。今後、厚生労働省労働局が確定する。
このため、受給を始めた20~23年度の決算を修正。返納を見込んだ引当額として、今年度は2400万円を反映した。25年度は600万円を計上する。
今後、再発防止に向けて、コンプライアンス意識の醸成やグループガバナンスの強化、労務管理の徹底、内部監査体制の見直しをはかる。
矢田社長は「多くの皆様にご迷惑をお掛けしお詫び申し上げる。全社を挙げて再発防止を徹底し、信頼の回復に努める」と述べた。