歯科医療と観光が連携、日本初のデンタルツーリズム
外国人観光客が年々増加するなか、中国を中心とした外国人富裕層向けの歯科治療サービスに特化した「デンタルツーリズム」を、福岡市内の医療関係会社「ジャパンメディカル」(西原正治社長)が開発。経済産業省の中小企業の新連携事業として今年2月に認定を受け、具体的な旅行商品化に向け動き出した。
事業は同社がコア企業として総合企画・プロデュース。高度歯科医療を提供する「お口のケアクリニック」(福岡市)や患者のツアーサポートなどを行う「メディカルコンシェルジュ」(同)の3者が連携して取り組む。
検診やインプラント、審美などの治療で信頼性の高い日本の歯科医療サービスを観光業と連携して提供する医療ツーリズムは日本で初めてで、激増する中国の訪日市場に向けて提供する新たなコンテンツとして注目を集めそうだ。
デンタルツーリズムは東南アジアをはじめとする海外では普及しているというが、この事業では連携する3者と九州大学歯学部などが技術支援するフォロー体制も構築。
さらに課題となる医療ビザ取得支援体制や歯科医療通訳サービスの提供、中国・上海の大学、歯科医院などとの提携による帰国後のアフターフォローも行う。
また、滞在中の患者や同伴する家族に対しては、観光、ショッピングなどの中国語によるガイドサービスを提供しトータルでケアしていく。
具体的な提供サービスでは、初回向けの検診がレントゲン検査、口腔内検査、歯石取り、色素沈着の除去(ヤニ取りなど)などの口腔内クリーニングで、初回は治療を行わず、次回の治療について説明をし、まずは患者の信頼を得る。
検診時間は約3時間を見込む。オプションでは30分で口腔がん検査もできる。2回目以降がインプラント、審美の治療で、治療期間は30日から90日間を見込む。
価格は検診が30万円、口腔がん検査が10万円、審美治療80万円、インプラント180万円を設定する。
中国では政府系の病院が多く、セカンドオピニオンが得にくいことや、慢性的な医師不足と、医療技術に対する不安も多く、日本の医療サービスを経験することへの欲求は強いという。
観光庁がまとめた「中国から日本への医療観光者数予測」では、年率19%増の成長を予測。2016年に1万3千人、17年には1万6千人が見込まれている。
事業では、国内のインバウンド旅行社や中国の提携旅行社とマージン契約を結び、旅行商品化・パッケージ化を進めるほか、WEBサイトを活用し認知度を向上させる。
売上計画では、初年度に1800万円。5年後には8040万円を見込む。