test

白山開山1300年の節目へ、白山市の観光戦略語る

「白山開山1300年」記念ロゴ
「白山開山1300年」記念ロゴ

人と人の触れ合いが大切

 石川県内最大の面積を誇る、白山市。2005年2月1日、1市2町5村(松任市、美川町、鶴来町、河内村、吉野谷村、鳥越村、尾口村、白峰村)が合併して誕生した同市は、来年白山開山1300年の節目の年を迎えるにあたり、市のPRに力を入れている。白山市の魅力を全国に広めるために奮闘する、同市観光課の米林歩課長と、同市東京事務所の酒井誠一所長に、白山市の観光の現状と、今後の展望や課題を聞いた。【後藤 文昭】

 ――白山が来年開山1300年を迎えます。

■酒井:今年3月に市内の各種団体から構成する「白山開山1300年記念事業実行委員会」を組織しました。「次代へつなぐ1300年」をテーマに、18年までの3カ年で「広報」、「市民参加型」、「イベント事業」を3本柱とする活動を始めています。今年度は、とくに広報活動に力点を置くこととし、「記念ロゴマーク」を活用したマグネットシートなどPRグッズの作成・配布などを行うとともに、「『灯りでつなぐ1300年』プレイベント」や、8月10―11日の記念事業成功祈願登山の開催など、来年に向けて機運を盛り上げたいと考えています。

 ――開山1300年イベント以降はどのような取り組みを考えていますか。

■酒井:この1300年を節目にそれ以降も「白山」を全国に広めていきたいと考えています。そのためにもまずは白山市民一人ひとりが「白山の恵みに感謝するなど、改めて白山の素晴らしさを再確認される」ことが重要です。市民の声を取り入れ市民参加型のイベントを実施し、市民の皆さんとともに白山を県外に発信して行きたいと思います。

 ――白山は国立公園ですが、整備などは。

酒井:環境省と、国土交通省と石川県により、宿泊施設や登山道などはほぼ整備され、今後も避難小屋や要望のあるトイレの整備、「白山比咩神社」の奥宮も1300年にあわせて改築が進められています。

 ――白山市のこれまでの観光PRの問題点は。

■酒井:白山市は05年に1市2町5村が合併してできた市で、観光分野でも現在醸成中です。今までは8つの旧自治体単位の観光協会などで推進していましたが、市として1つになり、まとまるのが大変でした。当初はPRも市内各地域に点在するそれぞれの観光地を平等に行おうとしたため、わかりにくくなってしまい、目玉も作れませんでした。今はいい具合にまとまってきて課題は整理されてきたように感じます。ただ次の段階として、「白山」と、「白山比咩神社」を核に進めていくための効果的なPRの課題も出てきており、そのために東京事務所が1つの発信基地になりたいと思っています。  

 また、もともと観光業に携わる人が多い「山ろく地域」への新幹線開業効果の波及が薄いことが課題でもあります。これはPR不足に加え、2次交通の確保が難しいことなどが考えられます。 

■米林:合併後10年が経過し、とくに若い世代を中心に白山市全体を考えていこうという人も増えてきており、観光客に万遍なく白山市の魅力を伝えられるようになっていくと思います。それと、白山市からの発信だけでは弱いので、強力な情報発信と情報収集を東京事務所に期待しています。

 ――北陸新幹線の開業効果は。

■酒井:新幹線の開業によって、昨年のウルトラマラソンでは首都圏からの参加者が増加するなどの効果があり、観光客は増えました。それでも、金沢市が開業で湧いたような状況にまではなっていません。市としては、白山にあるものを個性としてPRしていきたいですね。その個性の1つに、宿泊施設(温泉)などが「コンパクト」であることがあります。コンパクトであるからこそ、少人数に濃い、深いおもてなしができると思っています。「金沢旅行の半日でいいから、白山市に立ち寄っていただきたい」と常々口にするのは、まずは半日、白山の温泉や旬の食材などを堪能してもらいたいからです。

 ――今後北陸新幹線をどう活用されますか。

■酒井:白山市には全国に5カ所しかない北陸新幹線の「総合車両所」があります。春からJRが市内団体限定に無料公開を始め、夏以降には市外団体も対象に無料車両所見学ツアーを開催しています。将来的には車両所を核としたツアー造成をJRと協議し、実現できれば県外からの誘客もはかれると期待しています。また、北陸新幹線が福井県まで延伸したとき、白山市や周辺自治体の産業や観光などに大きな影響を与えると思うので、新幹線白山駅実現に向けても、努力していきたいと思っています。

 ――では、白山市の観光の今後の展望については。

■酒井:白山だけで首都圏から誘客を進めることは、正直難しいと考えます。例えば昨年、白山市の宿泊者数が近年にはないほど増加しましたが、これは金沢市に宿泊できなかった観光客が流れていたことも1つの要因です。そこで白山市の観光は、金沢市と連携した取り組みが重要になっていきます。

■米林:金沢市との連携は、両市の思いが合致して成り立っています。金沢市は、リピーターにつなげるために金沢を拠点に加賀や能登へという思い、一方、白山市は1日目に金沢市、2日目は白山で遊ぶという流れを作りたいという思いです。

 具体的な例として、金沢に泊まった人が早朝見に行くところはないかという話のなかで提案をして、両市で作り上げた企画の1つが、「白山比咩神社おついたちまいり」です。

 また、「加賀地域連携推進会議(オール加賀会議)」(石川県小松市と加賀市、白山市、能美市、野々市市、川北町の6市町で構成)を通じ、3年前から周辺自治体と共同で情報発信などをしています。来年の白山開山1300年でも連携して取り組もうとする機運はできてきています。

 ――最後に、白山市の観光施策を、今後どのように進めていきますか。

■酒井:未確定なものが多いですが、観光専門の「白山市観光連盟」が動き始め、金沢市とも連携をしてイベントを行い始めていますし、環白山ということで、白山を取り巻く自治体が手を取り合って行う事業もいくつかあります。

 首都圏で白山市東京事務所として、出逢った方一人ひとりに、「石川県白山市の魅力」を発信していきたいです。

■米林:来た人を迎えるという意味では、白山市に住んでいる人が市に誇りを持つことが、最も大切だと思います。観光では、風景や、食べ物も大事ですが、人と人の触れ合いが一番大事です。最終的な目標は住みたいと思えるまちになることで、白山市もそうなれればいいと思います。

 そして、多くの人に「白山市」を知ってもらい、訪れていただけるよう努めていきたいです。

 ――ありがとうございました。

いいね・フォローして最新記事をチェック

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。