着地型観光 喫緊の課題、ランドオペ、初の実態調査(観光庁)
観光庁は10月6日、東京都内で第1回「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」を開いた。旅行業法のなかで着地型観光とランドオペレーターが喫緊の課題とされた。合わせて前例がないランドオペレーター実態調査の報告書が発表された。
報告書によると、把握された事業者は864社。従業員数と資本金ともに小規模事業者が多く、大都市部(東京・大阪・愛知・福岡)に集中している。問題となっている土産屋などへの案内は、7割の業者が行っていることが分かった。
また、過去にあった主なトラブルについて、旅行業の約81%は「特になし」と答えた。一部の悪質なランドオペレーターの露出機会が多く、健全な業者が大層を占めていることがわかる。
さらに、ランドオペレーターの約42%が「旅行業法や関連法令で登録制などの業務適正化」を、今後の対応としてすべきと回答した。
ただ、今回の調査で回答があったのは全体の約34%。残りの約66%は無回答だった。委員からは「大変貴重な資料だ」との意見もあったが、一方で「実態把握は無回答側が重要では」、「より一層の実態把握を行ってほしい」などの要望もあった。
観光庁の田村明比古長官は、無回答の部分も並行して「精度を上げて調査する」とし、結果が分かり次第報告すると述べた。
また、旅行業の現状について説明がなされた。
現行の旅行業の登録制度は、第1種以外は業務範囲が制限され、第3種は国内の募集型企画旅行に制限がかかっている。
加えて、第1―3種の旅行業者と地域限定も、一律に旅行業務取扱管理者の選任が必要。
旅行業務取扱管理者の試験は「総合」と「国内」の2つがあるが、2015年度で合格率はそれぞれ20―30%ほどと、難しい試験となっている。
観光庁は、これらの制度が地域の事業者が参入する際の障壁になっていると報告。見直しの方向性について、16年6月2日に閣議決定した規制改革実施計画の抜粋を提示した。
これによると、第3種旅行業者の範囲拡大と、地域限定旅行業などの登録の容易化、旅行業務取扱試験の見直しが挙げられている。とくに着地型旅行は、着地型を取り扱う営業所に選任する管理者試験を、現行より簡易な試験の新設を含め検討するとされている。
今後は、ランドオペレーター団体や旅行業界、自治体など関係各団体にヒアリングを実施。11月2日の第1回ワーキンググループを行い、課題、論点の整理をする。11月17日の第2回のワーキンググループで、中間とりまとめ案の整理を行う。11月下旬に第2回の検討会で中間とりまとめが発表の予定。その後、第3回検討会以降でさらなる検討を行い、最終とりまとめを行う。