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社内カンパニー制導入、経営体制 大きく舵切り(HIS)

12年ぶりに社長に復帰した澤田氏(左)と、平林氏
12年ぶりに社長に復帰した澤田氏(左)と、平林氏

 HIS(エイチ・アイ・エス)は11月1日から新たな経営執行体制を敷いた。澤田秀雄氏はHISの社長に復帰。会長を兼務し、最高経営責任者(CEO)となる。現社長の平林朗氏は副会長に就き、新会社HISホテルホールディングスの社長や、新たに設置したM&A本部で本部長などを兼務する。多くの事業分野を抱え、小回りが利かなくなった経営体制を再編した。社内カンパニー制により決済速度を上げ、迅速な事業展開や、世界展開、次代の経営者育成もはかる。
【平綿 裕一】

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澤田氏が社長に復帰

 10月28日に行われた会見で、澤田新社長は「社内カンパニー制を導入し、権限と責任をしっかりと下に落とす」と強調した。多岐にわたる事業領域を分類。権限と責任を明確化し、素早い意思決定が行える環境を整えた。グループ全体の戦略の策定と実施を行う経営構造も創出。旅行事業を軸に置いた経営体制から、大きく舵を切る。

 澤田氏は「総合旅行会社はすでに古い」と持論を展開。数10年間続けてきた経営体制を再編し、世界で戦える経営体制を構築した。組織は大きくコーポレート部門(人事・総務・内部監査など)と旅行事業部門の2つに分けた。

 コーポレート部門は「連結グループ本部」の業務執行部署に位置付ける。旅行事業部門は「HISJAPAN」、インバウンド事業は「HIS訪日事業部門」としてそれぞれ、いわゆる事業子会社とする。連結グループは「海外の旅行事業」「テーマパーク事業」「ロボット事業」など多数の事業領域を分類し、各事業部門に経営執行体制を再編した。

 今後は「連結グループ本部」を常設。澤田氏と平林氏を含む業務執行取締役6人で構成する。連結グループの戦略策定などの重要事項を決定する「連結グループ戦略会議」を主宰。これによりグループ全体の統制、選択と集中、事業部門間の整合性をはかっていく。

 一方、新たに設置したM&A本部で、M&Aを主導し企画・検討・実施する。国内外問わずIT分野を中心に、500億円規模までを目標とした。これまでは社外からの引き合いが多かったが、今後は能動的に活用。拡大戦略の1つに据える。

 HIS100%出資の新会社、HISホテルホールディングスは(1)ホテルマネジメント契約の受託(2)M&Aの実施(3)自社による物件の取得――を通じ、今後5年間で100軒の運営を目指す。国内外に点在する既存のホテルも統合する構え。

 今回の再編は、ハウステンボスのグループなど本来の旅行事業以外が傘下に入り、連結業績に占める割合が増加したことが内部の主因となる。外部要因は国内外のオンライン旅行会社(OTA)の台頭や訪日需要の増加、異業種の参入による業界構造の変化などがある。

 とくに旅行事業は「今までの成功体験を捨ててゼロから見直す必要がある」(平林氏)とし、新たにグローバルオンライン事業を創出。「澤田と私で力を入れてやっていく」と強調した。

 2004年に一線から退いていたが、12年ぶりに社長の座に復帰した澤田氏。経営者育成については「今後3年から5年で30―40代にバトンタッチしていきたい」とし、新体制によって「将来の経営者が育ってほしい」と語った。

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