佐世保・小値賀観光圏、DMO候補法人に登録
長崎県北部の観光都市・佐世保と東シナ海に浮かぶ五島列島最北端の島・北松浦郡小値賀町が地域連携する「海風の国 佐世保・小値賀観光圏」が昨年11月2日、国が推進する日本版DMOの候補法人に観光庁が登録した。日本版DMOは観光地域づくりの舵取りを担う法人で、登録が認められれば国も重点的に支援する予定だ。
観光圏の中核となる佐世保市の人口は25万人。年間観光客は590万人(2015年)で、12年からは県を代表する観光地・長崎市を抜いて観光客数トップとなり、15年の観光消費額は前年比19・6%増の1276億円に達している。外国人宿泊者数も同19・8%増の15万8千人と11年の東日本大震災以降、4年連続の増加。大型クルーズ船寄港は延べ33隻と全国で8番目の寄港数を誇る。
観光圏は13年4月に国の認定を受け、18年までの5カ年でブランド観光地化の推進事業を展開している。コンセプトは「『海風の国』暮らしを育む海舞台~浦々の四季で迎える西海物語~」。佐世保市の街なかと世界遺産候補になっている黒島天主堂がある黒島、絶景で知られる九十九島、日本遺産に認定の焼き物の里三川内、ハウステンボスなど10地域と、古民家再生などで注目される小値賀町で構成されている。
事業推進の中心となるのが佐世保観光コンベンション協会(飯田満治理事長)で、事業初年度に戦略策定、推進のための専門部署を設置。人員を大幅に増員して、ワンストップ窓口整備などを行った。また、観光戦略設計を行い、顧客満足度などの市場調査事業、観光マイスターなどの人材育成、各地の受入体制整備のほか、旅行商品も企画・販売している。
14年度には観光地を周遊する「クルーズバス海風」の運行を開始。15年度に「佐世保軍港クルーズ」も開始した。16年度は、黒島の受入体制整備や「海風旅」のモデルコースを作成。体験プログラムによる外国人旅行客誘致も目指す。飯田理事長は「DMO法人は自立的な財源で、法人自体が自主的な事業ができる経営体でなければいけない」と強調する。
同協会の事業予算は年間約5億円。3分の2が市の委託、補助事業で、3分の1が自主事業。収益事業は駐車場や不動産事業、チケット販売、旅行事業、土産品開発・販売など幅広い。飯田理事長は「地方は観光で生き残るしかない。その波及効果は他の産業分野を含め地域全体に広がるし、雇用の源泉になる」と話し、観光が果たす地域経済発展の役割を強調する。