JTB髙橋社長、“仕掛けと変革の年”、黄金の時間の果実得る
JTB(髙橋広行社長)は1月19日、東京都内で2017年新春経営講演会を開いた。冒頭、髙橋社長は2016年の観光情勢を振り返り、16年は爆買いに代表される〝モノ消費〟から、体験などを中心とした“コト消費”へと大きく様変わりした背景を踏まえ、「リアルエージェントにしかできない〝ならではの価値〟について今一度考えた年だった」と表現した。
今年度の国内旅行は、大きなイベントや話題性に欠けるものの、全体的に需要は底堅く推移する見込み。とくに今年は、JRが新たな観光列車を走らせることから「鉄道の旅」に注目が集まると述べた。海外旅行について髙橋社長は、「今年こそは、我われリアルエージェントにとって、本当の意味での海外旅行復活の年にしなければならない」と述べ、海外旅行復活に向け、待ちの姿勢ではなく、自ら積極的に働きがけを行っていく旨を伝えた。
訪日旅行は、アジア新興国からの旅行者を中心に、目的地としての日本の人気は底堅いことから、今年も堅調に推移するとみられる。しかし、旅行者のニーズや行動パターンが「モノ消費からコト消費」になるなど大きく変化しているため、このような変化に対し、柔軟に対応していく必要があると語った。
経営戦略として、同社グループでは17年を「仕掛けと変革」の年と位置付け、仕入れや販売を強化していく。仕掛けについては、(1)直近の需要につながる仕掛け(2)将来に向けた種まきの仕掛け――の2点を強化していく。具体的には昨年10月に、日本通運、三越伊勢丹ホールディングスとの共同出資により立ち上げた合弁会社、Fun Japan CommunicationsにおけるWebサイトでの日本の魅力の情報発信などを行い、日本の企業・自治体とアジアの現地消費者を結ぶ、新たなビジネスを展開していく。
変革について個人事業において、仕入れの面で(1)仕入れの一元化(2)戦略的な仕入れの強化――の2つの改革を行う。商品造成面では、付加価値の高い商品の拡充を行っていく。また、販売面において実店舗に求められる価値を見つめ直し、より一層顧客ニーズに対応していくことで、〝真の製販一体〟の実現をはかると述べた。
最後に髙橋社長は、15年の新春あいさつで語った、20年の東京オリンピック・パラリンピックまでの、〝変化の激しい時間=黄金の時間〟について「変化に対応できたものだけが、黄金の時間の果実を得ることができる。果実を得るためには、積極的な仕掛けと変革が必要」と改めて言及した。