“スノーリゾート”最終報告へ、国が観光施策に位置づけ
観光庁は2月8日に東京都内で「第5回スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会」を開いた。昨年6月の中間報告などを踏まえ、最終とりまとめへの骨子案を報告した。国は初めて観光施策の計画などにスノーリゾートの取り組みを位置づける。スノーリゾートが抱える問題や課題を共有し、アクションプログラムなどの策定、実行を急ぐ。
今年2月には冬季アジア札幌大会が開かれ、18年の平昌五輪や22年の冬季五輪も控えている。欧米豪に加えて、アジア圏でスノースポーツ人口の増加が予想される。
ただこれまで共通の方向性がなく、総合的な対策が求められていた。
これらを踏まえ、同庁は最終とりまとめでスノーリゾートのブランディング化や、情報発信の強化をはかる方針を示した。
大規模と中小規模の規模別でスキー場の取り組みを分け、新たな成功事例の創出に取り組むほか、スキー以外の食や宿泊施設、自然体験などを充実させる。
情報発信も力を入れる。海外の旅行会社などを招き現地視察・体験をしてもらう「ファムトリップ」や海外旅行博の出展を実施していく。
一方、課題は市場データ不足だ。国内のスノースポーツ人口は1990年代のピーク時から半減した一方、訪日客は昨年2400万人を超え、スキー場でも急激に増加。市場は一変した。
座長の原田宋彦氏(日本スポーツツーリズム推進機構会長)は「ターゲットを明確にしたうえで、精密なデータに基づいた戦略が必要」と強調した。
委員らの意見を受け、加藤庸之観光地域振興部長は「国、地方、民間がいかに行動するのか、アクションプログラムなどに落とし込んでいく。マーケティングや収益性の観点も、持続可能性があるスノーリゾートの発展ために必要。最終とりまとめに打ち出していきたい」と述べた。
次回の検討会は3月1日。最終とりまとめを予定している。首都大学東京都市環境科学研究科観光科学域特任教授の本保芳明氏は、最終とりまとめについて「これまで国はスノーリゾートへ関心を向けてこなかった。今回国を挙げて取り組むことがどれだけ意義深いことか、伝えていくことも重要だ」と訴えかけた。