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料亭文化を国内外に、100年の歴史持つ料亭集う(百年料亭)

 100年以上の歴史を持つ全国18カ所の料亭は3月7日に、新潟県上越市の料亭・宇喜世で、「百年料亭ネットワーク」を設立した。これまで料亭は日本の伝統的な料理や文化を守ってきた。一方で「一見さんお断り」に代表される敷居の高さが、料亭の認知・普及を妨げていた。東京オリンピックを前に、歴史的建造物の価値と和食・料亭文化を、改めて国内外に発信していく。

 具体的な活動内容は情報発信だけではない。築100年を超す建造物の維持・保存・継承。百年料亭を軸に互いに送客し合い、地域活性化や地方創生を目指す。すでに今年1月に長野県・松本館(同会員)に宇喜世から送客を実施。4月は長崎県・一力(同会員)への送客を予定している。

 さらに「地方の伝統・文化を守る有識者会議」「地方の伝統・文化を支援する会議」を2017年度に立ち上げる見通し。専門的な見地から建造物の維持・保存方法の提言と指導を行う。支援に対しては特別賛助・賛助会員らを募り、観光誘致や商品開発をともに進めていく考えだ。

 このほか、ネットワーク構築で相互交流や情報共有をはかり、料亭文化(芸妓・舞妓など)の継承や、個々の家風などを後生に残す側面もある。

 発起人は宇喜世の大島誠社長(百年料亭ネットワーク事務局長)。4年前に宇喜世の社長に就任したが、経営状況が思わしくなかった。そこで全国の料亭に話を聞いて回ったところ、同じ悩みの声を多く聞いたという。

 大島氏は全国各地3千カ所の和食店を調査。全国で百年料亭の基準に当てはまったのは67カ所のみ。このうち約半数以上に訪問し、同会の考えを伝えたところ、賛同する料亭も多かった。

 国土交通省に何度も通い、100年を超える料亭、建造物の保護や改修費補助などの理解を訴えた。ただ「料亭文化全般に対する国民の理解が必要」と、同会の必要性を諭された。

第1回総会のようす。足掛け2年で設立に

 同日に記者会見と第1回の総会を開催。全国10カ所の料亭が駆けつけ、足掛け2年で設立に漕ぎ着けた。大島氏は「この2年もの間に2つの百年料亭が廃業となった。今後は建造物・料亭の文化を守り、発信していきたい」と述べた。

 一方、料亭を利用することに「空間と歴史、さまざまな物語があるなかで、食事を楽しむことに価値を見出してほしい」と想いを語った。

 青森県・富士見館(同会員)の大舘むつ子女将は「100年の歴史を持つ料亭は少ない。悩みを共有でき、いい励みになる」と設立を喜んだ。

 今後もインバウンド増加、地方への流入が見込まれる。日本の新たな文化価値訴求、新たな受け皿として、同会の役割に期待がかかる。
【平綿 裕一】

「百年料亭ネットワーク」設立。発起人は大島誠氏(前列左から3番目)

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