旅行会社の強み活かす、良質な商品造成を(ジャルパック)
ジャルパックでは、北海道と沖縄に仕入センターを設け、地域と協力しながら、魅力的な商品造成に力を入れている。今回、国内企画商品第1事業部北海道グループの中川明子グループ長と、企画を担当した益子沙織アシスタントマネージャーに話を聞いた。工夫を施した丁寧な企画やパンフレット制作、旅行会社ならではの、質の高い商品が生まれる背景を知ることができた。同社プランナーへのインタビューはこれで3回目。
【謝 谷楓】
――オススメコース「北海道銘酒を学び味わう旅」について。
益子:銘酒をテーマにした、新しいコースです。食や自然というイメージが強いなか、日本酒とウィスキーに着目することで、さらに一歩踏み込んだ北海道を紹介したいと考えました。ご年配の夫婦だけでなく、日本酒に興味を持つ大人の女性も視野に、ターゲティングを行いました。
高砂酒造工場と、ニッカウヰスキー北海道余市蒸留所工場で試飲ができるほか、蔵元限定酒のプレゼントといった特典も用意しています。
中川:携わった益子は現地を訪れたうえで、造成に着手しています。
視察を通じ、見せたいモノや見せるタイミング、食事を取る時間帯にも配慮しています。テーマに関連したホテルでの特典や、旅行が終わった後でも楽しめる吹きガラス体験(グラス作り)など、丁寧でこだわりのある企画です。銘酒というテーマを存分に楽しめる物語性だけでなく、試飲などを考慮し、旅行中の移動手段にも選択肢を設けました。旅行会社ならではの商品となりました。
――バランスの良い商品のようです。仕入センターが、2014年にできましたが。
益子:現地の施設各社への提案は、東京にいる私たちが行います。一方、例えば工場見学の時間枠の交渉は、仕入センターが担います。
中川:しっかりと役割分担ができています。
また、仕入センターの設置により、施設各社とジャルパック、双方にとって相談しやすい環境が生まれました。コミュニケーションを道内に居ながらできるため、施設の方にとっても時間や費用の短縮につながっていると思います。
――ジャルパックでの商品造成について。
中川:オンライン旅行会社(OTA)のシェアが高くなってきている昨今、企画に携わる私たちとしては、ユーザーの需要を把握することが大切だと考えています。それを踏まえたうえで、ジャルパックができることは何かを考え、自治体や観光協会、地域の施設各社と連携しています。
例えば、まだ知られていない温泉地や、個人では体験が難しいアクティビティの提案・商品化というように、旅行会社の強みを活かし、地域の良さを伝えたいと考えています。
企画会議では、グループメンバー一人ひとりが積極的に発言をしています。ユーザーに見せたいモノや体験させたいコトを考え、年齢層や性別といったターゲットの選定も行います。
パンフレットのほか、Web商品の造成も行っていますので、商品の性質やターゲットに最適な媒体選びにも気を使っています。
集客や、自社のダイナミックパッケージ商品とのバランスを配慮したうえで、ジャルパックならではの良質な商品造成を続けています。
――パンフレットで工夫している部分は。
益子:パンフレットでは、写真のインパクトをとても大切にしています。商品購入のキッカケとなるため、丁寧な選定を心がけています。直接現地に赴き、撮影を行うときもあります。同一施設でも、他社パンフレットと比べて見栄えするような写真を載せるなど、差別化ができるよう工夫しています。
中川:現地視察では、ユーザーに伝えたい見どころや、オススメの味わい方を意識して行動しています。写真へのこだわりもその一環です。
益子:被写体の立ち位置を指定することもあります。
施設の方には手間をかけてしまいますが、パンフレットを通じ現地の雰囲気を知ってほしいと考えています。
秋から冬にかけ、下期のパンフレットには2次元バーコードを載せています。冬の北海道はイベントが多いため、動画などを通じ、臨場感を伝える工夫もしています。
――オススメの商品を教えてください。
益子:ジャルパックなら、道内間の飛行機にも乗ることができます。オリジナルの旅を楽しめる商品“旅スケッチ”を利用すれば、利尻島や奥尻島といった地元の方でも訪れる機会の少ない地域に、スムーズにアクセスできます。
北海道は広いため、移動時間短縮でもぜひ、飛行機を活用してほしいと思います。
――ありがとうございました。