「ふるさとオンリーワンのまち」第9号認定、館山市の“多様性”が魅力(NPO法人ふるさとオンリーワンのまち)
NPO法人ふるさとオンリーワンのまち(津田令子理事長)は、独特の風土や伝統文化、産物、無形のおもてなしなどユニークな観光資源を、「ふるさとオンリーワンのまち」と認定している。3月29日には、館山市観光協会(千葉県)を第9号に認定。同市は「まるごと博物館・まるごと観光地」をコンセプトに、滞在型の観光地に取り組む。“多様な楽しみ方が一つに集う館山”を理由に、津田理事長が同市観光協会の小金晴男会長(当時)に認定書を授与した。
館山市は房総半島の南端に位置し、内房に面している。人口は約4万7千人。豊かな食材に恵まれ、ポピーをはじめ1年中、多様な花がまちを彩る。「南総里見八犬伝」の舞台になるなど、歴史的遺産や神社仏閣も散在している。
認定式で津田理事長は「私たちが地域の宝を発掘し、認定を始めて約5年。現在は約40人のメンバーが在籍している」とNPOの活動を紹介。「館山市観光協会にはこの認定をきっかけにして、より大きく羽ばたいてほしい」とあいさつした。小金会長は「素晴らしい認定書をいただき、感動とともに重みも感じている。すでに認定されている8件の地域の先輩方を見習いながら、ネットワークの一員として一生懸命勉強し、『オンリーワンのまちづくり』に努めていきたい」と謝辞を述べた。
金丸謙一市長も出席し、「館山の美味しい食べ物など、多様性を認めていただいたことはとてもうれしい」と述べ、「なんでもある館山市の総合力が認められたのだと思う」と語った。
認定式終了後には「これからの館山の観光振興」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。同観光協会の小金会長と、観光まちづくりセンターの木村義雄室長(観光アドバイザー)、館山市経済観光部の上野学部長、NPOからは松陰大学観光メディア文化学部の古賀学教授、旅行新聞新社の増田剛編集長の両理事が登壇。コーディネーターは津田理事長が務めた。津田氏は「館山市には25年以上足繁く通っているが、何度訪れても同じ表情はない」と四季によって多様な姿を見せる同市の魅力を語った。
小金氏は「館山では観光は基幹産業。観光の必要性を市民にもしっかりと伝え、観光客にも伝わる“住民パワー”でお迎えしたい」と力説した。
同市に移住している木村氏は「多様性のある地元の食を『食のデパート』としてPRするなど、もう一度原点に戻って見つめ直すことが大事だと最近感じている」と話した。同市の上野氏は「34・3㌔続く海から見える富士山や夕日は、観光客だけではなく、市民の誇り」とし、海を活用したさまざまなスポーツイベントなどを紹介。市では移住定住にも力を入れており、海とともに滞在して過ごす「館山スタイル」も提案した。
古賀氏は「房総半島はサイクリングで1周できる」と説明し、「今後は2次交通として自転車で回れる起点づくりが大事」とアドバイス。増田氏は「館山はもともと別荘も多く滞在型観光地へのポテンシャルが高い」とし、「滞在客に安心感のあるまちづくりを目指してほしい」と語った。
当日、NPO一行は館山城(八犬伝博物館)や、ポピーの里館山ファミリーパーク、みなとオアシス“渚の駅”たてやまなどを視察し、館山の名物「炙り海鮮丼」も堪能した。