「集中と分散」分社化へ、新社長に丸山隆司氏(KNT―CT)
KNT―CTホールディングスは4月27日、グループの再編と社長交代を発表した。新社長には丸山隆司顧問が就任し、戸川和良社長は相談役に退く。人事は6月20日に正式決定される。丸山新社長は「東京オリンピック・パラリンピックが開催される3年後までに成果を示す」と意気込みを語った。同社は新体制のもと、「集中と分散」を基本方針にグループを再編し、分社化による地域や専門分野に応じた営業体制を確立。地方創生や地方誘客へ動きを加速させる。
【後藤 文昭】
集中に基づく再編では、近畿日本ツーリストと近畿日本ツーリスト個人旅行の事業統括部門をKNT―CTホールディングスに集約。情報を1カ所にまとめ、グループの横断的な事業戦略の策定機能と事業推進機能、グループ全体の基盤の強化をはかる。
一方分散に基づく再編では、近畿日本ツーリスト首都圏と同関東、同中部、同関西を新たに設立。旅行形態の区別なく、すべての旅行と関連需要を取り込み、地域発型の旅行事業を深化する。多くの自治体が推進する地方誘客への取り組みも勧奨し、「地域誘客センター」を各社に設置、着型需要の獲得もはかる。
既に同北海道や九州などが地域に根差した営業活動を行っており、業績を上げていることから分社化に舵を切った。今後はオンライン旅行会社(OTA)では販売が難しい地域商品を販売し、「地域旅行会社」としての企業価値も高めていく。
大手企業が集中する東京地区には、近畿日本ツーリストECCを設立。MICEを中心に、企業・団体旅行などの法人需要に対応する。
増加するインバウンド需要へは、KNT―CT訪日旅行を設立し、対応する。グループ各社に分散していた関連部門をまとめ、経営資源を集中投下。同グループの収益の柱に据え、組織強化をはかる。
また、グループのウェブ戦略やインターネット販売強化のため、近畿日本ツーリストWEBも設立する。
なお名称はすべて仮称で、分社化は2段階に分けて行われる。同中部と関西、KNT―CT訪日旅行は6月1日に設立し、10月1日から事業を開始。その他の各社は18年4月1日から事業を開始する。
丸山 隆司氏(まるやま・たかし)1972年3月早稲田大学政治経済学部卒業。同4月近畿日本鉄道(現近鉄グループホールディングス)入社。2004年5月志摩スペイン村社長、06年3月近鉄レジャーサービス社長、11年きんえい社長などを歴任。17年KNT―CTホールディングス顧問就任。