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増加するインバウンド、多言語化へAIを活用(KNT―CT)

田中貴業務課長(左)と、安岡宗秀室長

 KNT―CTホールディングスとグループ会社の近畿日本ツーリストは3月から、インターネットサービスの企画、運営を行うtripla(トリプラ)と共同で「triplaチャットボットサービス」を展開。チャットでの問い合わせに対し、AI(人工知能)とオペレーターを組み合わせ対応する。インバウンドの地方化・個人旅行化・観光業者の小規模化に対応し、多言語化することは喫緊の課題。未来創造室の安岡宗秀室長と訪日旅行部の田中貴業務課長に話を伺った。
【後藤 文昭】

 ――多言語対応に着目されましたが。

 訪日外国人旅行者数が年々増加するなか、個人旅行化が進み、地方に多くの人が流れています。また、民泊サービスやカプセルホテルなど旅行事業者が変化、小規模化してきています。このような変化に対し、多言語対応が急務ですが、「言葉の壁」が大きく立ちはだかっています。

 ――「言葉の壁」とは。

 多言語での問い合わせに対応できる人材の不足や、コストの問題ですね。例えばコールセンターに依頼した場合、質問に的確に回答ができますが、導入コストが負担になっています。 

 ――この問題へ、どうアプローチしますか。

 以前から、ホテルや旅館向けに音声翻訳サービスを立ち上げるべく、課題抽出を行っていました。そのなかで、音声への対応だけではなくメール対応に対しても、さまざまな課題、改善点があることが分かってきました。

 ――課題とは。

 まず、質問内容の類型化があります。もう1つは、言語数が多く、対応するスタッフを十分に用意できないことです。

 そこで、AIを組み合わせたサービスを考えました。

 ――AIを組み合わせる理由は。

 人件費の節約と生産性の向上です。AIを使えば、類型化された質問に自動で返答することができます。また、常に学習を行うので、日々の会話内容を蓄積し、徐々に自動で回答できる回数を増やすこともできます。

 あらゆるサービスが機械化できるようになったとしても、「おもてなし」だけは無理です。同社のサービスを活用すれば、今まで問い合わせ対応をしていた人材を接客に回せ、施設のサービスの向上にもつなげられます。

 ――サービスの最大の売りは。

 「安心」です。AIは予期せぬ質問に対して的を外した回答をしてしまうことがあります。学習を重ねていけば、語彙が増え、より精度が高まりますが、時間がかかります。そこでオペレーターを併用し、回答率を100%にしています。

 ――どのような流れで展開されますか。

 導入される施設には、「アクセス」や「入浴時間」など、よくある質問への答えを記入したヒアリングシートを提出していただきます。その後、訪日外国人からの質問に対し、このシートから回答を行います。

 ――あらかじめ想定できない質問へは。

 チャットオペレーターが判断できる場合は直接、判断できないものは施設側に確認して回答します。

 ――1月にはアプリも配信していますが。

 BtoC向けに「YOKOSO Japan App」を、トリプラと共同でリリースしました。「triplaチャットボットサービス」を活用した訪日外国人向け観光アプリです。

 自社が展開している「YOKOSO japan Tour & Hotel」の各種日本体験プログラムやアクティビティの販売、飲食店の案内、予約などができます。

 ――今後の展開は。

 自治体や温泉組合のような、地域を束ねている団体にも導入してもらいたいです。宿泊施設側もインバウンドを受け入れることが大切なのは、分かっています。一方で受け入れ慣れていないのと、ホームページの多言語化などに対する投資が必要になるので、実行するのが少し難しい状況です。自治体などが資金面などで支援し、一括導入できれば、地域の固有名詞も蓄積でき、旅先としての質の向上にもつながると期待しています。

 ――ありがとうございました。

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