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宿とOTA ― BtoBビジネスのサービスも高度化

2017年6月11日
編集部

 エクスペディアグループはこのほど、「Rev+(レブプラス)」という、新たな宿泊施設向けのレベニューマネジメントシステムの日本での提供を始めた。

 レベニューマネジメントとは、宿泊施設の客室や航空座席など在庫を繰り越せないサービス業などにおいて、需要を予測することで収入(レベニュー)の最大化を目指し、適切な販売管理を行う手法だ。

 つまり、繁忙期には高い料金設定をし、閑散期には割安料金を早くから打ち出すなど、価格を柔軟に変動させることによって、固定させた場合に比べて収入の拡大を求めていくことも一つの考え方である。

 「レブプラス」では、パートナーの宿泊施設はエクスペディアグループが保有する約38万5千軒のビッグデータから自動的に算出した競合施設20施設の平均客室料金を閲覧できる。「より科学的にレベニューマネジメントを行うことが可能」としている。同社によると、グローバルなホテルグループや大手宿泊施設では、レベニューマネジメントを担当する専任スタッフが在籍し、独自のツールと手法論を設けているが、「小規模のホテルや旅館では、フロントスタッフや予約係が兼任するなど専任スタッフがいないケースがほとんど」という。「全世界のホテル市場でのレベニューマネジメントシステムの利用率は15%以下」との統計もある。

 さまざまな宿泊サイトが存在するなかで、エクスペディアの「レブプラス」は他サイトとの競争の中で差別化になるだろう。同社はユーザーと同様に、パートナーである宿泊施設にとっての使いやすさにも大きな投資をしているのが特徴だ。

 リアルタイムでライバル20施設の料金を見ながら自館の料金設定ができるのは、〝料金設定に悩む〟施設にとっては、この上ないサービスである。

 しかし、一つ気に留めなければならないのは、料金設定はサービスの品質によって決められるもの。いくら繁忙期だからといって近隣宿泊施設の相場を見ながら料金を高くしても、苦情やクレームが増えては意味がない。それどころか、マイナス効果である。

 また、ライバル館が安い料金を設定しているからといって、さらに安くしたのでは低価格競争の渦に呑まれてしまう。

 年間を通じて料金を変えない宿泊施設も強い支持を得ていることも見逃せない。

 「少しでも安い宿を」「普段は宿泊できない高級ホテルがこんなに安く泊まれる」などを求める消費者には、ホテルを探す楽しみが増えるかもしれない。しかし、「いつもの気に入っている宿に泊まりたい」と思うユーザーにとっては、毎日料金が変動すると不安になるし、いちいち料金を確認するのもストレスとなり、他の施設に逃げることもあり得る。

 OTA(オンライン旅行会社)と宿泊施設など、BtoBビジネスは今後さらに加熱し、サービスも高度化していくだろう。しかし、前提となるのは、やはりお客と接する現場が一番大事だということ。

 リピーターは現状のサービスと、料金に満足しているから、その宿にリピートするのであって、コロコロと料金が変わることのデメリットも考慮したうえで、レベニューマネジメントと上手く付き合ってほしいと願う。

(編集長・増田 剛)

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