民泊年間で〝ゼロ泊も〟、早ければ年明けに施行、民泊新法が成立
田村長官「自治体の判断」
住宅宿泊事業(民泊)法案が6月1日の衆義院本会議で可決、9日に参院本会議で採決され法案が可決・成立した。今後は政令・省令の制定、各都道府県の条例が検討され、早ければ年明けに施行。住宅を有料で貸し出す民泊サービスが全国で行えるようになる。民泊事業者には届出制と、管理・仲介事業者に登録制度を設ける。宿泊日数は都道府県などが条例で期間を制限できる。旅館・宿泊業界らが陳述などを続けてきたが、政府は年間〝ゼロ泊〟も認める考えだ。
【平綿 裕一】
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観光庁の田村明比古長官は5月31日の国土交通委員会の質疑で年間ゼロ泊について、「最終的には自治体の判断」との見解を示した。
民泊事業者は都道府県知事(保健所設置市などはその長)に届け出れば、180日を超えない範囲で民泊ができる。訪日外国人観光客に対しては、設備使用方法や交通手段を外国語で案内しなければならない。
騒音防止や周辺地域の生活環境への悪影響防止に関しても説明を義務付けている。周辺住民からの苦情対応も素早く的確に行う旨を定めた。
家主不在型民泊の場合は管理事業者に事業を委託する。管理事業者は国土交通省に、仲介事業者は観光庁に登録し、それぞれ5年毎に更新しなければならない。国交省と観光庁ともに、登録を取り消す権限も規定した。
ゼロ泊に関して田村長官は「1年間365日すべてを制限するのは適切ではない。合理的に必要と認められる限度は、地域の実情がさまざまであるので、法令で一律に定めるのは困難」としながらも、「最終的には自治体の判断になる」と述べた。年間でゼロ泊が認められれば、民泊を禁止できる地域もでてくる。
一方で、罰則強化が盛り込まれた旅館業法の一部改正法案は未だ成立していない。3万円から100万円と大幅な罰則金の引き上げがなければ、ヤミ民泊への抑止力が失われる。法案成立が急がれる。