【朝ごはんのおいしい宿 アンケート結果発表】豪華さを感じる朝食が人気
海の幸・米が根強い人気、地元食材を求めるニーズも
本紙は旅行形態の変化に伴い、宿泊施設での朝食も重要な集客要因と考え、「第42回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」発表冊子内と、本紙が業務提携する「地球の歩き方T&E」のWeb「日本の歩き方」上で、「朝ごはんのおいしい宿」のアンケート調査を実施した。その結果、「種類の豊富さ、豪華さ」を感じられる朝食の人気が高い結果になった。また、海の幸や米の人気が根強く、地元の食材・名産品を求めるニーズも高いことが分かった。
推薦施設を都道府県別に見ると、1位は静岡県で89軒、2位が長野県で61軒、3位が北海道で56軒、4位が神奈川県と兵庫県で53軒、6位が群馬県で50軒、7位が栃木県と大分県で43軒、9位が新潟県と石川県、岐阜県の3県が39軒と続く。
推薦が多かった施設のトップ10は、1位が大分県・別府八湯の杉乃井ホテルで48件、2位が石川県・和倉温泉の加賀屋で47件、3位が新潟県・月岡温泉の白玉の湯泉慶・華鳳で30件、4位が岐阜県・下呂温泉の水明館で27件、5位が栃木県・鬼怒川温泉のあさやで21件、6位が静岡県・稲取温泉の稲取銀水荘で19件、7位が栃木県那須郡のホテルエピナール那須で18件、8位が栃木県・那須温泉のホテルサンバレー那須で17件、9位が鹿児島県鹿児島市の城山観光ホテルで16件、10位が山形県・かみのやま温泉の日本の宿古窯で15件となった。
半数がバイキング
朝食スタイルでは、推薦された宿の約53%がバイキングではないスタイル、約47%がバイキングだった。バイキングではない食事形態は、「ゆっくり食べられる」ことや「(盛り付けなどを視覚で)楽しめる」、「自分のペースで食事ができる」ことなどから利用者に喜ばれている。
他方、バイキングは「種類の多さ」や「好みのものを食べられる」、「選ぶのが楽しい」といった意見のほかに、イクラなどの高価な食材を好きなだけ味わえるといった贅沢感も人気につながっている。食べきれないほどの量のメニューが並んでいて、「楽しかった」、「幸せ」、「感動した」などと答えた人も多くみられた。小さな子供がいる利用者にとっては、子供が好きなものを食べられたり、沢山食べられたりすることから好まれるようだ。
豪華さがカギ握る
推薦理由で最も多かったのが「種類が豊富・豪華」で、310件あった。「和、洋、中を万遍なく食べられる」や、「自分の好みにあわせられる」、「選ぶのが楽しい」といった点などが、推薦理由の多さにつながったようだ。子供が楽しみながら食べられることから、家族連れからの支持も高い。
地元食材求める声
次に多かった推薦理由は、「地元の食材・名産品が食べられる」で218件。ご当地メニューも人気で、地域を感じられる味付けなどは、旅行気分を盛り上げ、好印象を与えている。なかでも、採れたての新鮮な野菜に対する支持が高い。朝食で気に入った特産品などは、お土産として購入する人もいる。
和食形式喜ばれる
干物や、刺身、イクラなどの海の幸を推薦理由に挙げる声は、196件。とくに、焼き立ての美味しさなどを理由に干物を推す声が52件と多く、日本人の朝食の定番スタイル(御飯・魚・味噌汁)がよかったという声も97件、味噌汁単体でも37件の推薦理由があった。
刺身やイクラなどを推薦理由に挙げる人からは、「朝から舟盛りが出て感動した」、「自分好みの海鮮丼が作れて幸せ」などの声が聞かれた。朝食で獲れたての新鮮な海の幸を堪能できるのも、利用者の満足感につながっているようだ。
根強いお米の人気
新潟県や北海道など、各地にいろいろな銘柄米がある日本。今回の調査でも、「米の美味しさ」を推薦理由に挙げる声が89件と、根強い人気を示した。米が美味しくて「何杯も食べてしまった」や「印象に残っている」という声が多い。また、炊き立てのご飯を食べられることだけではなく、釜などで丁寧に炊かれたご飯の味に感動した人も多く、好印象につながっているほか、「おにぎりを目の前で握ってくれた」、「付け合わせが沢山あった」という声もあった。
ご飯・米の関係では、「温泉粥」などで提供される粥が27件推薦理由に挙がっていて「体に優しい」ことが、利用者に喜ばれている。餅も24件の推薦理由があり、日常ではあまり食べることのないつき立ての餅を楽しめたことが好評を得ているようだ。
朝食のもう1つの主役、「パンの美味しさ」を推薦理由に挙げる声は62件。「焼き立て」、「自家製」、「種類が多い」ことが好印象を与えている。自家製のジャムなども、パンが支持を集める要因になっている。
豆腐はでき立てで
海の幸や米、パン以外で人気があったものをみると、でき立て、手作り、自分で作る豆腐の支持が高く、43件。とくに湯豆腐が人気。オムレツは38件推薦理由として挙がっていて、目の前で焼き上げてもらえることが、印象に残るきっかけになるようだ。
地産食材人気続く
地産食材やジビエなどへの注目が高まっているといわれている。施設側でも、「地産食材」をコンセプトに献立作りやフェアを開催しているところは多い。今回のアンケートでも、「地元の食材・名産品が食べられる」ことが多くの人の推薦理由になっていた。地元の食材や味付けは、旅行に出たからこそ味わえるもの。今後もニーズが高まっていきそうだ。
推薦理由には、「美味しい」や「おすすめ」という声だけではなく、「幸せ」、「ほっとする」、「楽しい」などの声も多く挙げられている。感情に訴えかけるメニュー作りや味付け、盛り付けなども宿の食事を気に入る重要な要素になっているようだ。
「種類が豊富・豪華」な朝食を推薦理由に挙げている人も、品数の多さに感動したり、選ぶことを楽しんだりしていた。また、刺身など普段朝食のメニューでは並ばないものに対し、贅沢感を挙げる人も多い。朝食の満足感を上げるには、多くのおかずを並べるなどし、目でも楽しめるよう工夫されたメニュー作りも重要になる。
このほか、手作り感やでき立て、丁寧さなど、料理の味以外の部分を感じられることも、推薦された宿の評価に大きく関係しているようだ。
なお、今回の調査は2225人の方から回答があり、1073軒の宿が推薦された。