「入湯税を温泉地整備に」、青森県で初の総会開く(日本温泉協会)
日本温泉協会(大山正雄会長、1282会員)は6月20日、青森県青森市の八甲田ホテルで2017年度会員総会を開いた。スローガンとして掲げる「無秩序な地熱開発反対」「入湯税は温泉保護のために」などを喫緊の課題として取り組んでいくことを確認した。
88年の歴史を持つ同協会は、戦時中の中止を挟み、会員総会は82回目を数えるが、青森県での開催は初めて。大山会長は、「日本の観光の要は温泉文化。昨年5月にG7の財務相会議が宮城県の秋保温泉で開かれ、12月には山口県の長門湯本温泉で日ロ首脳会談が行われた。温泉は重要な政策の場にもなってきた」とあいさつした。さらに「2年後に90周年を迎えるが、会員の増強をはかっていきたい」と述べ、組織の充実と社会的な認知度向上にも取り組んでいく姿勢を示した。
地熱開発については、「現在、国立・国定公園の自然環境保護の規制を緩和してまで、地熱発電を2―4倍にしようという作業が進められているが、温泉資源を脅かすもの。地熱発電を4倍にしても総電力量の1%にも満たない」と強調した。また、昨年、鹿児島県・指宿温泉で地熱発電の計画が出され、下竹原和尚理事をはじめ、指宿温泉の関係者、日本温泉協会が抗議して中止となった経緯を説明。温泉保護に寄与したと報告した。
入湯税は「1年間に日本国内で約220億円に達するが、本来の目的である温泉保護ではなく、一般財源に組み込まれているところが多い」と大山会長は指摘。このうえで、「温泉が無ければ入湯税は存在しないもの。温泉地の魅力ある地域の整備などに充てるべき。温泉地が魅力を増せば、リピーターや長期滞在が増え、富を生み出す」との考えを示した。群馬県・みなかみ町では、入湯税の8割に値する1億700万円をみなかみ町観光協会への補助金に充てることが決まったと紹介し、「このような事例が全国に広まってほしい」と語った。
総会後の懇親会は、酸ヶ湯温泉旅館(青森市)で開いた。
来年の総会は鳥取県米子市の皆生温泉で開く。