外務省が安全対策示す、海旅添乗員に初セミナー
外務省と日本旅行業協会(JATA)、日本添乗サービス協会(TCSA)は6月22日、外務省内で海外旅行添乗員を対象に「海外安全対策セミナー」を開き、144人が参加した。近年、世界各地でテロが多発するなど、海外旅行の安全に対する意識が高まっている。とくに、現場で旅行者を引率する添乗員は、緊急事態発生時の迅速な行動や関係機関との連携など重要な役割が求められることから、今回初めてセミナーを実施。外務省領事局が基本的な対応を示した。
冒頭、JATAの權田昌一海外旅行推進部長は、昨年から日本人出国者数の増加傾向は続いている一方、大手旅行会社の海外旅行取扱高は比例して伸びていないことを報告。顧客がOTA(オンライン旅行会社)に流れている懸念を示した。そのなかで、「旅行会社が提供する旅として、添乗員の力で安心安全の旅を提供し、OTAとの差別化をはかっていきたい」と強調。「お客様の安全を担い、旅の楽しさを伝えるために学んでほしい」と呼び掛けた。
TCSAの三橋滋子会長は「昨今、世界各地で予測し得ない事件や事故が起きている。日ごろ海外でお客様の安心安全に心を砕いている添乗員や関係者が、外務省から直接話を聞く機会はとても貴重なこと」とセミナー開催に感謝した。
外務省の能化正樹領事局長は「海外旅行での安全対策の重要性がこれまでになく高まっている。旅行のプロである皆さんは、旅行者から安全対策の面でもプロでいてほしいという期待を受けている。我われにとっても頼りになるパートナーだ」と述べ、安全対策への理解を求めた。
能化領事局長は近年、テロリストが一般人や観光客を含めたソフトターゲットを狙い始めており、日本人も対象になっていると警告。添乗の際にテロに遭遇してしまう可能性も示唆した。そのうえで、基本対応として(1)「たびレジ」への登録(2)海外安全ホームページからの情報収集(3)「海外安全 虎の巻」の利用――の3ステップを紹介。たびレジは外務省が発信する海外旅行者に向けたメールサービスで、必要事項の登録で現地の安全情報や緊急速報が送られてくる。「添乗の際には団体の人数を登録し、できれば参加者個人にも登録を薦めてほしい」とした。海外安全ホームページからはスポット情報のほか、海外でのトラブル対応を具体的に記した虎の巻も閲覧することができるため、積極的な活用を促した。