宗像・沖ノ島、世界遺産に、すべての構成資産認定
日本で21件目の世界遺産が誕生した。ユネスコの第41回世界遺産委員会は7月9日、「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」を世界遺産一覧表へ記載することを決定。8資産すべてが登録されるかが焦点となったが、「8つの構成資産は文化的・歴史的に結びついた一体のものであり、本資産の価値を理解するためにはすべての構成資産が必要である」とされ、すべての構成資産が登録された。
一方、ユネスコは追加勧告も出し、「保存活用協議会」の設立の検討を要請。資産の所有者代表を参画させることや沖ノ島への違法な上陸、船舶の接近の増加への考慮、締約国と関係国間で交易と航海、信仰に関する研究を継続・拡充させることなどを求めた。
松野博一文部科学大臣は、「関係者の熱心な説明で、本資産が古代から連綿と受け継がれてきた信仰を現代まで伝える遺産であると世界遺産委員会の理解が得られた。最終的にすべての構成資産を登録できたことを心から喜んでいる」との談話を発表した。
◇
「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、宗像大社沖津宮、中津宮、辺津宮など8つの資産で構成される。沖津宮がある沖ノ島は、女人禁制や一木一草一石たりとも持ち出すことは禁ずるなどの掟が、今も厳重に守られている神聖な島。4―9世紀の間の古代祭祀の変遷を示す考古遺跡が、ほぼ手つかずの状態で現代まで残されている。8万点の出土品が国宝に指定され、「海の正倉院」とも称される。