消費額は1兆円超え、政府目標厳しい状況続く(4―6月期)
観光庁がこのほど発表した2017年4―6月期の訪日外国人消費動向調査によると、旅行消費額は前年同期比13・0%増の1兆776億円だった。1人当たりの旅行支出は同6・7%減の14万9248円。消費額は四半期で過去最高で、上半期累計で初めて2兆円を突破したが、1人当たりの旅行支出は減少。政府目標8兆円の達成は難しい状況が続く。
国籍・地域別に旅行消費額をみると、中国が3682億円(同4・3%増)と最も大きい。次いで、台湾1536億円(同7・6%増)、韓国1177億円(同69・2%増)、香港852億円(同33・7%増)、米国767億円(同14・6%増)の順。これら上位5カ国・地域で全体の74・4%を占める。とくに韓国が約7割、香港が約3割の増加で全体を底上げした。
一方で旅行支出の場合、韓国の滞在日数の低さが全体を下げる一因となった。回答者全体の滞在日数分布で63・4%が6泊以内だが、韓国は3日間以内が40・0%と短い。「国内旅行感覚で短期滞在が多くなり、1人当たりの支出は抑えられる結果になった」と田村明比古長官は分析。韓国の1人当たりの旅行支出も6万9929円(同0・9%減)と、全体より8万円近く低かった。
政府は20年までに訪日外国人旅行者消費額8兆円を目指すが、伸びが鈍化している。上半期の累計は2兆456億円と推計され、昨年上期(1兆8839億円)と比べ約1620億円プラス(8・6%増)に留まった。
年間で1兆円以上旅行消費額が伸びなければ、今後3年間での達成は難しい。欧米豪などの富裕層を取り込むなど、中国一辺倒の状況を打破できるかがカギとなる。