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個人客志向へ転換、サービスを劇的に変化

リョケンセミナー 浜の湯で開催

浜の湯・鈴木良成社長

 リョケン(佐野洋一社長)は7月10―11日に静岡県・伊豆稲取温泉で、2017年第1回(通算159回)旅館大学セミナーを行った。1日目は「食べるお宿 浜の湯」の鈴木良成社長が「成長を続ける『浜の湯』の経営戦略」と題し講演。計145人の旅館経営者らが集まった。「浜の湯の『個人客志向』をぜひ学んでほしい」(佐野社長)。浜の湯は完全担当制と部屋出しを徹底し、リピーターを取り込んでいる。個人客旅館を追求するなかで、これまでの変遷を語った。 【平綿 裕一】

 転機は02年の設備投資。「個人客志向へと高質化の転換期だった」(鈴木社長)。昨年の第5期設備投資まで、施設の個人客化をリピーター向けに進めてきた。第5期ではバーラウンジを新設。夕食までの間は3回以上来館して、宿に直接予約した客だけが入室可能。アルコール類を無償で提供し、リピーターにこだわった空間にした。

佐野洋一社長

 ただハード面の施設は個人客・高質化したが、ソフト面のサービス強化が遅れていた。サービスを劇的に変えるため、4年制大学に絞った新卒採用を始めた。

 鈴木社長が会社説明から最終選考まで一貫して行う。学生には選考過程で宿の考え方や方向性を理解してもらい、共有する。「何度も話したうえで、最後まで残ってくれる。だから絶大な信頼がある」。徐々に新卒採用が増え、現在客室係は若年層が半数以上を占める。「これでサービスレベルが大きく上がった」と振り返る。

 さらに「今の時代はいかにリピーターに合うパーソナルサービスをするかが勝負だ」と強調。とくに力を入れるのが顧客カルテだ。来館のたびに新たな顧客情報を追加する。些細な会話から、料理の好みや写真撮影は必要かなど多岐にわたる。情報を元に浜の湯だけのパーソナルサービスを積み重ねていき、リピーターを囲い込んでいく。

 これらを追求するため「完全担当制」「部屋出し」を徹底。客に密接に関わる機会が多く、細かい情報を仕入れることが可能だ。「ものをいうのは情報量。完全担当制と部屋出しはつぶれるまでやっていく」とこだわりを見せた。

 このほか独自の宿泊プラン造成や、団体向けの料理を一品出しへ段階的に変えるなど、間断なく手を打ってきた。宿泊単価は年に1500円ほど上げて、今の平均宿泊単価は3万円を超える。直販の客は7割。繁忙期に全体の3分の1がリピーターという状況だ。「これまでリピーターを少しずつ増やしてきた。徐々に高単価の部屋に宿泊して下さるリピーターが増えた結果、現在に至る」と述べ「まだ成長していきたい」と締めくくった。

 講演後は浜の湯の館内で、参加者はリニューアル後の客室やバーなどを視察。個人客化の変遷を肌で感じていた。


新設のバーラウンジを見学
一圓泰成社長
井口智裕社長

 2日目は彦根キャッスル リゾート&スパ(一圓泰成社長)、越後湯澤HATAGO井仙(井口智裕社長)の代表と社員が講演。「若手社員が主役『私はこんなに旅館が楽しい!』」と題し、社員の業務や働く目的、考え方を発表した。

 次回は12月12―13日、千葉県・木更津三日月温泉「龍宮城スパ・ホテル三日月」を予定。
 
 

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