MICE誘致が本格化、関係府省と連携強める(観光庁)
MICE誘致に向けた動きが本格化する。観光庁は7月24日に第8回「MICE国際競争力強化委員会」を開き、中間とりまとめ(案)を提出した。来春までにMICE目標設定と、支援メニューの充実、官民連携横断組織を構築する。同会に先立ち、関係府省MICE支援アクションプランの中間とりまとめを策定。関係府省と手を組み、総力を挙げて誘致体制を構築する。このほか経団連や商工会議所と連携を強化。各国に遅れていたMICE誘致を多角的に連携し推し進める。
【平綿 裕一】
「今回の大枠は政府内でMICEを重要な位置づけとして認識し、横断的に推進すること。まずは動き出すことが重要だ」(MICE推進担当室井上学参事官)。具体的対策を4つ提示し、来春までに施策をかたち作る。
1つ目はMICE目標(KPI)の設定。C(国際会議)以外の、M(企業会議)とI(報奨・研修旅行)、E(展示会・見本市)も小委員会で定義し、年内にアンケート調査を実施する。MICE全体の経済波及効果を試算し、来年の3―4月に目標設定を行う。
2つ目では都市力の強化をはかる。10月を目途に「グローバルMICE都市・都市力強化対策本部」を設置する。自治体とコンベンションビューロー(CB)、観光庁らで構成。これまでは規制を撤廃して新たな施策を目指そうとしても、議論の場や受け皿がなく、中心となる組織もなかった。今回の本部設置で体制を整え、国際競争力を持つ都市に進化させる。
3つ目はMICE誘致体制の構築。まず政府を横断する体制を整備するため、7月21日のMICE推進関係府省連絡会議で、「関係府省MICE支援アクションプラン」を中間的にとりまとめた。
バラバラだった関係府省と連携。「チームジャパン」で総力を挙げ、観光庁が中心となり、MICE推進策を進めることで合意。今後実施事項は行いつつ、検討項目などを調整し来年3月に同プランを策定する。
このほか、経団連が行う2国間会議や、在外商工会議所の会合の場を活用して、M・I・Eそれぞれの誘致宣伝や情報提供など官民一体で働きかけを強める。経団連とは国内で、社内会議の開催や、報酬旅行実施でも手を組んでいく。
4つ目は人材育成。10月に「MICE人材育成協議会」の設置を見込む。現状は各団体・自治体などが個々に行い、統一性がない。同会が中心的な組織となりプロググラムやカリキュラム、育成モデルを検討する。
若年層に対しても働きかけを強める。学生インターンシップ受入強化を支援。来年度の予算で要求する見通し。大学での講演やCBなどへの受け入れを支援し、MICE業界への興味や就業意欲を喚起する。