鯖江市と楽天LIFULL STAYが連携 空き家利活用で雇用創出はかる
2017年10月18日(水) 配信
誘客や雇用創出、民泊を活用した地域おこしが活発になっている。10月16日(火)、福井県鯖江市(牧野百男市長)・鯖江商工会議所が、楽天ライフル ステイ(太田宗克社長)と地域活性化連携協定を締結した。空き家を活用したサテライトオフィスなどを通じ、雇用創出・女性の活躍をサポートする構え。
締結発表会見で鯖江商工会議所の園幸雄副会頭は、「昨年度から、中心市街地みらい創生委員会を立ち上げ、未来の町のあり方を明確に創造していくため、住民を巻き込んで、真剣に議論に取り組んできた」と語ったうえで、「空き店舗、空き家問題を解消し、街がさらに活性化することを大いに期待している」と、楽天LIFULL STAYとの提携を通じた課題解消に意欲を示した。
ものづくりの街としてしられる鯖江市。2015年には、「鯖江市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、移住定住の促進をはかってきた。推計によると、鯖江市の人口は 2060 年には約 51,700 人まで減少すると考えられており、生産人口の減少と医療費の増加が課題として挙げられている。課題解決をはかるため、「若者が住みたくなるまちの創造」や、「魅力ある雇用の創出」といった、ものづくりの街ならではの戦略実現が求められている。
□雇用創出に目指し、ベンチャーら民間企業と協力して、空き家・古民家を利活用
楽天LIFULL STAYは6月、楽天とLIFULL(井上高志社長)の出資によって設立されたジョイントベンチャー。楽天市場や楽天トラベルで培った集客やコンサルティングの力、9千万人超の会員数と、LIFULLが運営するホームズ(不動産情報サイト)の知見を生かして、民泊の仲介業に取り組む予定だ。本格的なサービス提供は、住宅宿泊事業法(民泊法)の施行後を予定しており、古民家や空き家の活用を通じた地方創生にも着手する。
産業を通じた地域おこしを目指す鯖江市にとっては、新規雇用の創出や、ベンチャー企業の誘致を実現する良き機会となる。課題解決にもつながることが期待される。
楽天LIFULL STAYの太田宗克社長は、「鯖江市の取り組みとしては、民泊のモデルケースとなるような民泊施設を開発したい」と、市と協力した事業展開をするとともに、「物件開拓と販売でも智慧を出し合い、今までなかったような人の流入と雇用創出につなげたい」と力を込める。
同社への出資先の1つであるLIFULLは今年1月、クラウドファンディングプラットフォームを運営するJGマーケティング社を買収。「クラウドファンディングサービス」への取り組みを本格化させている。7月からは、自治体の参加登録受付を始めた「LIFULL HOME’S空き家バンク」を利用しての空き家情報の収集も開始した。不動産を素材とした新しいバリューの創出に邁進している。同社では、人材の採用・育成にも力を入れており、利活用された古民家・空き家でのビジネス展開についても、独自の考えを有する。