「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(10月号)巻頭言」
2017年10月21日(土) 配信
今月号は、日本のパン食の特集です。戦後から日本に根づいたパン文化は、今も多様に変化しています。フランスの老舗パン屋の進出や、日本のパン消費の7割を占めるという日本特有の食パンの高級志向の高まりなど、近年のパン事情について多角的に取材しました。グルメページでも、京都とパンの深いつながりにスポットを当てました。文化欄では、昨今の日本のテレビや雑誌に見られる「日本スゴイ」現象を分析。旅行ページのレポートは、外国人に人気の安芸の宮島。地元の人たちが太鼓判を押すご当地グルメを紹介しています。
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□【特集】「パンづくし」
日本といえば、お米の国というイメージが強いが、現在、パン食は米食に迫る勢いだ。織田信長もパンを食したという記録があるが、パンの業界紙「パンニュース」代表の矢口和雄氏によると、全国的にパン食が拡がったきっかけは、1950年代の食糧難とそれに伴うアメリカからの大量の小麦の輸入だという。以降、小さいころからパン食に慣れ親しんだ第1次ベビーブーム世代が、今でもその人気を支えている。また統計によると、女子高生の7割以上は米より低カロリーという理由で、朝食にパンを選んでいるという。一般的にも、伝統的な日本の朝ご飯を準備するよりも、トーストのほうが時間を短縮できるという忙しい現代社会ならではの事情もあり、パンの消費量は伸び続けている。コンビニやスーパーの他にその需要を支えるのは、全国にある数千のパン専門店。しかし、 実際に国内で消費されているパンの7割は食パンだという。矢口氏曰く、「この日本独自の食パンの柔らかさは、お米や餅菓子に通じ、その食感が日本人にとって親しみやすい」そうだ。こうした傾向を反映したパンの製造について、自動機会社「レオン」の製パン工場と、銀座の食パン専門店「Centre The Bakery」で話を聞いた。また、パリで修業を積み、東京でフランス伝統の味を売るパン職人や、日本に進出したフランスのパン屋の存在にも着目。多様に進化する日本のパンの伸び代は大きい。
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□〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉人気の日本酒イベント
10月7日から9日まで、今年で4回目を迎えたサロン・デュ・サケが開催されました。このイベントは、フランスやヨーロッパにおける日本酒マーケットの拡大を目的とした展示会。対象は主に現地のレストランやショップですが、一般客も有料で入場可能。期間中は、約450種に及ぶ日本酒や日本のビールの試飲と並行して、すでに日本酒を取り入れているフランス料理のシェフやソムリエ、パティシエの講演会やワークショップなども開催されました。日本からは鳥取県や広島県のほか、酒造メーカーや酒蔵も参加。毎年勢いを増すこのイベント、来年もさらに期待できそうです。
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フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉