【平田観光・冨永CEOに聞く】異業種交流加速で “八重山の新しい旅”発信
2017年11月1日(水) 配信
沖縄県の八重山諸島で主に離島ツアーなどを販売する平田観光(石垣市)。創業45年の歴史で培ったノウハウを生かし、近年では異業種と連携した新商品の開発などにも力を入れる。今年4月の経営体制変更に伴い、代表取締役CEOに就任した冨永若子氏に今後の展開などを聞いた。
【関西支社・土橋 孝秀】
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――就任から半年が経過しました。取り組んだことは。
前経営陣が八重山のヒト・モノ・コトをつなげ、新しい価値を創造するランドオペレーターの役割を強化してきましたが、それを継承し、さらに進化させるのが使命と考えています。
就任後、自社のインスピレーションブックとムービーを制作しました。多企業に協力いただき、八重山の自然や祭り、歴史、食などの魅力を1冊に詰め込みました。1972年に平田つりぐ店として創業した自社の歴史には触れていますが、あくまで八重山ブランドの向上を目的としました。異業種交流のなかで新しい価値を生み出すという、当社の目指すべき方向を示しました。
――具体的な商品展開は。
アルルウェディングと業務提携し、メモリアルプラン「美ら結」を展開します。
新婚の方や既婚者の記念日、外国人観光客などを想定し、八重山の伝統文化を取り入れたメモリアルウェディングに、歴史や文化体験、島の希少素材にこだわったパーティーやディナープランなど、普段できないワンランク上の価値をご提供します。
ほかにも登山や歴史を切り口にしたり、インスタ映えするロケーションフォトプラン、島で有名なおもしろい人に会いに行くツアーなど、他にない八重山の楽しみ方を提案し続けていく、そういったプロデュース性の高さこそ平田観光が創業から45年間大切にしてきたもので、今後もきちんと継承していきたいと考えています。
――八重山を訪れる外国人観光客が絶好調です。
沖縄県で先駆けとなる2002年から訪日外国人誘客の取り組みを進めてきましたが、次のステージへ舵を切る時期にあると思います。
国内外のセールス拡大とより充実した受入態勢の構築に力を注ぎ、来てくださったお客様の満足度向上に取り組んでいきます。
国別では当社の場合、LCCでつながる香港が多いです。英語の話せるアジア、そして欧州とつながるアジアの拠点としての香港は重要市場の1つと捉えています。
社内では約半数のスタッフが英語を話すことができ、日本政府観光局(JNTO)認定のビジットジャパン案内所にも登録されています。
「平田サロン」という取り組みも進めています。石垣島に住む外国人や異業種の方をお呼びする意見交換会で、交流を通して地域を巻き込んだ観光産業の盛り上がりを期待しています。
――国内観光客の誘客策は。
インバウンドで賑わう一方、国内客の底上げが課題です。「質への転換」がキーワードで、八重山の本来の魅力を深く味わう高付加価値型の商品を増やすことを考えています。石垣島・バンナの森でのセグウェイツアーや沖縄の伝統木造船であるサバニ船でのクルージングは好評で、今後もテーマ性のある商品を展開していきます。
高付加価値型の魅力を造成するには、スタッフのスキル向上も必須です。定期的に社内セミナーを行い、英会話や歴史、おもてなしなどテーマはさまざまで、広い知見を持ったスタッフ育成に注力しています。
――今後の展望は。
女性目線での新しい八重山の旅スタイルを模索してきましたが、今後はメモリアルプランを皮切りにして具体的な商品造成とプロモーションに取り組みます。世間のニーズをしっかり把握し、常に新しいことにチャレンジする。八重山を訪れる人々が笑顔になれるよう、平田スピリッツを実践していきます。