ジャルパック訪日DP事業部 付加価値あるDP強み 質重視のタイ客へ販売拡大を
2017年11月1日(水) 配信
ジャルパック(藤田克己社長、東京都品川区)は2017年1月11日から、タイ国内で「JAL訪日ダイナミックパッケージ」を売り出した。タイ・バンコクに就航している日本航空(JAL)の4路線(成田と羽田、中部、関空)を対象に展開。4月には「訪日ダイナミックパッケージ事業部」を設置し、タイ人のスタッフも配置するなど体制を整えている。付加価値があるDPが強みと語る松原保典グループ長に話を聞いた。
【飯塚 小牧】
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――訪日事業の取り組みを開始した経緯は。
インバウンド4千万人時代を迎えるに際し、当社としても外国人のお客様を迎え入れる方法を検討してきた。
日本ではダイナミックパッケージ(DP)の認知度が高まっており、当社もFIT(個人旅行)のお客様に国内旅行と海外旅行でDPの販売を行ってきた。海外では航空券とホテルを別々に購入する傾向にあるが、これまでの経験から一定の感触とノウハウを得られたため、今年から新たなチャレンジとしてタイのお客様にアプローチを開始した。
――タイ市場で展開している理由は。
JALの販売戦略で強化しているのがタイだ。親日で知られているタイからの訪日客が年々伸びているなか、昨年はJALのバンコク線が就航60周年を迎えた。また昨年のリサーチで、団体旅行でゴールデンルートを訪れた人たちがリピーターとなり、今後はFITが増える傾向にあることが分かった。これらのことから、インターネット販売に適しており、伸びていく市場だと判断した。
――なぜDPなのか。
ほかの国と同様、タイでも飛行機とホテルは別々に予約するのが主流で、インターネット上でもセット販売はあまりない。そのなかでセット販売にすることで利便性やお得感を創出できる。
また、傷害保険が付いており、日本で医療機関を受診する際も多額の支払いになることはない。日本とバンコクに問い合わせ窓口があり、安心感もある。
このように単なる「飛行機+宿」だけではなく付加価値があるのが強みだ。これまでの当社の経験を盛り込んでおり、これが訪日客への「おもてなし」だと考える。
――送客で力を入れる国内の地域は。
最優先はJALの国内就航都市だ。JALが展開する外国人向けの「ジャパンエクスプローラーパス(JEP)」を利用し、日本の地域の魅力を感じてほしい。また、空港からの移動をスムーズにするため、ほかの輸送機関や地域との連携も必要だと考えている。
現在、東日本旅客鉄道(JR東日本)グループと連携し、DPの販売サイトで訪日向け鉄道パス「JR EAST PASS」と着地型旅行商品「TOHOKU BUFFET(東北ブッフェ)」を紹介している。さらに、JALグループと北海道観光振興機構との連携に参画し、DP販売サイト内にひがし北海道の特集ページを開設した。おすすめの宿泊施設や現地の観光バスなどを紹介しているが、こうしたパーツを増やしていくことが、お客様の利便性につながると考えている。地域の方々にとっても、我われのDPは実際に人を呼び込むためのツールとして有効だと思う。
――これまでの手応えや今後の展開は。
送客数はまだ十分とは言えないが、Web販促やタイ現地の旅行フェアで直接販売などを行い、反応は出てきている。現在、約5千軒の宿を掲載しているが、施設数も拡大していきたい。今タイでは温泉に入りたいというニーズもあるので、シティホテルに加え日本の旅館、温泉宿も需要がある。
航空券はビジネスクラスの需要が予想以上にあり、単価が高い良質なお客様が多い。必然的にLCC(格安航空会社)との差別化がはかれている。今後もタイで質を重視するお客様に対し、販売を拡大していく。